W杯を大けがで辞退・中山雄太 “仲間のために”がチームに好影響を及ぼす可能性も

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 サッカー選手の夢舞台といえば、もちろんW杯。その夢が目前で霧散した――。

 森保監督がW杯本大会出場メンバーを発表したのは今月1日。そこにDF中山雄太(25)の名前もあった。ところが翌2日、彼は試合で右足アキレス腱を損傷。手術を要する重傷で、出場辞退を余儀なくされた。

「中山はW杯でスタメン起用される予定でした」

 とスポーツ紙記者が語る。

「ポジションは左サイドバック。4大会連続選出の長友佑都がいますが、36歳でスタミナの衰えが著しく、ドイツやスペイン相手にフル出場は難しい。かといって、貴重な交代枠をDFに使えない。なので、少なくともこの2戦は中山をスタメンで使うつもりでした」

 アジア予選ではあまり活躍していない中山だが、

「運動量、パワーがある。なにより身長183センチと体格に恵まれ、大柄のドイツ選手にも当たり負けしない。9月に行われたアメリカとの強化試合でも相手の攻撃を零封し勝利に貢献した」

 聞けば聞くほど、日本にとって手痛い損失に思える。

“仲間のため”が功を奏することも

 さて、当の本人の胸中はいかばかりか。中山のインスタグラムをのぞくと、まず松葉づえを突く痛々しい姿が目に飛び込んでくる。添えられたメッセージは、

〈これが僕の運命だとしっかりと受け止めてます!神様がくれた新しい中山雄太への進化のチャンス無駄にせず、しっかりと歩んでいきたいと思います!〉

 そして、

〈W杯での日本代表の躍進を共に全力で応援しましょう!!〉

 力強いエール――で連想するのが、今季の横浜F・マリノスだ。Jリーグ優勝決定直前に連敗して窮地に陥るも、故障で長期離脱中の宮市亮が地元のイベントに登場しチームを鼓舞。横浜は最終節で辛くも優勝を果たした。先の記者は、

「そういえば先のルヴァン杯でも、サンフレッチェ広島が、急死した元チームメイト・工藤壮人のユニホームを掲げ、奇跡的な試合運びで初Vを飾りましたね」

 亡き戦友のため、負傷した仲間のため――そんな旗印は戦う者を奮い立たせる。

「代表には、中山とともに東京五輪を戦った若手が多数選ばれていますし、同じポジションの長友はパフォーマンス好き。ベンチに中山のユニホームを吊るしたり、ゴール時に中山の名前を書いたアンダーウェアを見せたりなんてシーンが見られるかもしれませんよ」

 初戦のドイツ戦はいよいよ明日23日だ。

週刊新潮 2022年11月24日号掲載

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