「silent」はZ世代対応“スマホドラマ” 部屋に独りで籠もって泣ける“意外な工夫”とは

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TVerこそが新メディア

「見逃し配信でもっとも再生数の多いTVerの場合、再生速度は最高でも1・75倍です。『silent』はこのスピードでも台詞が聞き取りやすくなっている。例えば、11月3日放送の第5話で話題となった、川口が3年間交際していた鈴鹿との別れを決意する電話のシーンは、『渡鬼』(TBS)の橋田壽賀子さんもビックリの長台詞と長回しでした。このシーンを1・75倍で再生しても、BGMが小さな音で流されているので、2人の台詞はしっかり聞き取れます。長回しではあるものの、たたみ込むように喋るのではなく、間をしっかりと取って、ゆっくりと話しているからです。それがまた、感情を抑えているかのような効果を生んでいます」

 番組の公式Instagramによると、電話のシーンはセットの2箇所に撮影クルーを分け、実際に2人が通話した状態で撮影したという。

「会話も間も良くなりますからね。川口と目黒が待ち合わせに利用するカフェも、繁華街の“映える”店でも、食べログ的な有名店でもなく、さりげなく身近な店をロケ地に選んでいる。だから他に目が行くこともなく、2ショットに集中できます」

 もっともこのお店も今は、2人が座った席を予約したいという電話が、毎日100件以上殺到しているとか……。

「かつてのような、お金をかけたスタジオセットで趣向を凝らして撮る時代は終わったと言っていいかもしれません。『silent』は、すべてが手の平サイズのピッタリに作ってある。TVerは無料で配信されますが、基本的にCMを飛ばして再生することはできません。そんな中で、これだけの再生数を誇るドラマができたことに、CMスポンサーも注目しているでしょう。ひょっとすると、地上はもちろん、サブスクやYouTubeよりも広告効果のあるメディアにもなり得ます。今後はスマホ利用者向けに作られるドラマが増えるかもしれません」

デイリー新潮編集部

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