長野久義“人情トレード”美談のウラに巨人の胸算用　「内海」「坂本」問題で背負わせる十字架とは？

ノーモア「内海」

　巨人は今オフ、今季限りで引退した西武の内海哲也元投手のコーチ招聘に失敗した。実は、この苦い経験も長野復帰の伏線になった。

　内海氏は長野と同じ時期に、FA移籍での人的補償で西武に移籍した。野球への真摯な姿勢で、西武では選手と兼務で投手コーチを任されるほど信頼を受け、来季からはそのままコーチ専念となる。

「巨人は桑田が（来季から）投手コーチを外れる前提だったからか、内海にコーチ就任を打診したようだが、内海はうちを選んだ。原監督には引退を報告して仁義を切っていたが、内心は放出された過去が引っかかっているのではないか。何よりも今の巨人は不振だと、コーチが責任を取らされることが常態化している。内海が復帰に二の足を踏むのは仕方ない」（西武球団関係者）

　仮に長野が広島で引退していたなら、かつて横浜（現DeNA）から移籍した石井琢朗（DeNAコーチ）のように、そのままコーチに就任した可能性はある。

「巨人はそうなる前に呼び戻し、巨人でユニホームを脱がせた直後にコーチに転身させる青写真を描いた。内海の（西武の本拠地球場での）引退セレモニーでは（監督、選手でともに戦った高橋）由伸や恩師に慕う堀内（恒夫）さんといった巨人関係者が訪れた。本来、このセレモニーは東京ドームでやらなければいけなかった。巨人の上層部には、コーチで復帰させられなかった内海と同じ事を、長野で繰り返せないとの反省が残ったようだ。長野は巨人で指導者にしなければメンツにも関わる」（巨人のチームスタッフ）

　坂本の相談役と、阿部次期監督の補佐役。長野はチーム合流前から早くも重荷を背負わされているようだ。

木嶋昇（きじま・のぼる）
野球ジャーナリスト

デイリー新潮編集部

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