梨泰院事故で迷走する責任追及 「自殺」にまで追い込む韓国社会の“魔女狩り”

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自殺するまで追い込む「韓国世論」

 このような惨事が起きた時、ターゲットを絞って、とことん追い込むのが韓国社会の特徴だ。セウォル号の時も事故後、3人が死に追いやられた。

 事故から2日後 、修学旅行を引率していた高校の教頭が山林で首を吊って自殺した。教頭は生徒を残して生き残ってしまった自責の念に苦しんでいたとされ、遺書には「私がすべての責任を負う。遺灰は沈没現場に撒いてくれ。あの世でも教師をやろうか」と書かれていた。

 事故直後から行方をくらましていた船会社のオーナーも、2カ月後に韓国南西部の順天(スンチョン)市の梅畑の中で変死体になって見つかった。オーナーは背任容疑で指名手配され、韓国史上最高額となる5億ウォン(約5000万円)もの懸賞金がかけられていた。

 18年には、犠牲者遺族に対する違法な調査を指示した疑いで検察の取り調べを受けていた元国軍機務司令官が飛び降り自殺している。

“教祖”の土下座

 最近だと、コロナ禍で4000人もの集団感染を引き起こしたとして、新天地イエス教会の教祖が記者会見で土下座して詫びた姿を記憶している人も多いであろう。その後、教祖は、感染病予防法違反などの疑いで検察に逮捕された。

「誰かを血祭りにあげない限り、国民の怒りは収まらない。今後も魔女狩りは続いていく可能性がある。当面のターゲットは警察ですが、しかるべき立場の人物に集中的な個人攻撃が行われる恐れがあります。事故現場で違法建築が横行していたことも問題視されており、建物を管理していたオーナーなどに向かう可能性もあります」(同)

 今回は日本人2人も犠牲になった。国民の溜飲を下げるための責任追及ではなく、再発防止の観点から冷静に検証する姿勢が必要だ。

デイリー新潮編集部

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