ポイントビジネスの元祖「ブルーチップ」の60年 ベトナムで豆腐販売、移動スーパーも

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 楽天ポイント、dポイント、Tポイント……。今や日本人の9割以上がポイントカードを所有していると言われるが、ポイントビジネスの元祖と言えば、「ブルーチップスタンプ」である。買い物をすると、スタンプがもらえ、それを貯めると商品と交換できるシステムだ。10月24日で創業から60年を迎えた。

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 ブルーチップスタンプは、トレーディングスタンプ(購入額に応じて配布するクーポン)とも呼ばれ、加盟店で買い物をすれば50円ごとにスタンプ1枚がもらえる。これを250枚(250円相当)以上貯めると、商品と交換できる。

 ブルーチップスタンプ社の日本法人(現ブルーチップ)が設立されたのは、1962年10月24日。創業者は蒲生隆氏という実業家だ。

「当時、日本のベンチャー企業の若手リーダーの一人として、蒲生はリクルートの江副浩正さん、日本警備保障(セコム)の飯田亮さんらと事業拡大の夢を語り合っていたそうです」

 と語るのは、ブルーチップ社の土橋和人常務である。

ノウハウを無償で提供

 蒲生氏は、サンフランシスコ州立大学経営学部を卒業後、知人とロサンゼルスで貿易会社を設立した。当時、アメリカで流行っていたトレーディングスタンプに関心を持ったという。

「カリフォルニア州では、1956年設立のブルーチップスタンプ社が圧倒的シェアを誇っていました。蒲生は、日本でスタンプ会社を立ち上げようと考えたのです」

 蒲生氏は、スタンプ事業のノウハウを教えてもらうため、ブルーチップスタンプ社と交渉したという。

「ブルーチップスタンプ社は日本に進出するつもりはなかったので、ノウハウを無償で提供しようと言ってくれたそうです。社名、ロゴ、キャラクターなど自由に使ってよいと」

 ブルーチップスタンプ社は、カリフォルニア州の小売業グループが他州の大手スタンプ会社の進出を阻止するために設立した会社だったため、カリフォルニア州以外で展開するつもりはなかったという。

「もっとも、ミシン目が入っているブルーチップスタンプのシートは、法律上日本の民間会社は印刷できません。そこでアメリカで印刷し、貨物船で一度に大量に輸入しました」

 蒲生氏は日本法人を設立する際、財界人脈を利用したという。

「父親は日本興業銀行に勤務し、親友が日興証券社長だった湊守篤氏でした。その関係で財界人脈があり、東急電鉄の五島昇社長が全面的に支援してくれました。創業時から相談役に就任していただいています」

 1964年、東急ストアの前身である東光ストアがブルーチップの加盟店となったことがきっかけで、スーパーの加盟店が急増した。

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