「エンタの神様」「マジカル頭脳パワー」「SHOW by ショーバイ」…名物プロデューサーが明かすヒット番組の作り方

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フライングスタートと字幕を導入した真意

 フライングスタートもそう。最高視聴率31.6%を記録した「マジカル頭脳パワー」(1990年~99年)で導入されたのが先駆けと言われている。五味氏が企画・演出した番組だ。

 他社が午後8時に番組を始める中、同7時54分からスタートさせた。常識を覆した。視聴者は飛びつき、他社は悔しがった。だが、他社にだって出来たことなのである。

五味「フライングスタートには賛否両論あるんですよ。『ほかの番組より先に始めるのは狡い』などと言う人もいる。だけど早く始める本当の理由はCMをあらかじめ多く流すことにある。そうすると、午後8時から22、23分くらいまではCMを流さなくて済む。番組の本編全体の時間も長くすることが出来ます。テレ朝の『報道ステーション』も午後10時ではなく、9時54分に始まりますが、10時になるまでに2分以上、CMを流しています」

 同じく他局に波及した五味氏による新手法は「出演者の言葉の字幕スーパー化」。これも「マジカル」が初だった。今ではテレビ東京「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」のように字幕の多さを売り物の1つにしている番組すらある。

五味「これについては僕を『A級戦犯』と呼ぶ人もいましたよ(笑)」

 どうして戦犯?

五味「保守的な考えの人にとってみれば常識を越えたことをやったわけで、だから『いかがなものか』みたいな感じになるんですよ」

 だが、もはやバラエティ番組は字幕がないほうが少数派。そもそも字幕導入には明確な理由があった。

五味「ユーザーである視聴者にとっての分かりやすさを徹底的に突き詰めていったら、『字幕が補助的にあったほうが視覚的にも聴覚的にも楽に番組が見られる』という結論に至ったんです」

 五味氏は分かりやすさを追求してきた。

五味「例えば『名古屋コーチン』って地鶏がいるじゃないですか。でも知らない人も多い。なので写真と字幕スーパーを画面に出すようスタッフに指示したんです。『小1の子供でも理解できるように』と普段からスタッフに言っていました。すると、やがてスタッフが『地面』まで写真と字幕を画面に出すように。土地の表面の『じめん』ですよ。さすがに担当プロデューサーも『地面くらい分かるだろ!』って、あきれてましたね(笑)」

「24時間テレビ」の舞台裏

 1992年からは6年間「24時間テレビ『愛は地球を救う』」を演出。1991年は6.6%だった平均視聴率を17.2%に急伸させた。この年から24時間マラソンが始まり、「マジカル」の人気解答者だった間寛平(73)がランナーになった。

五味「寛平さんのマラソンはマネージャーさんからの提案でした。ただ最初の年、走っているシーンは土曜日の夜と日曜日の午前中のほんのちょっとした映せなかったんです。声援を送ってくれる人が大勢集まってしまい、道路が渋滞したものですから」

 走る姿を映したいが、そうすると場所が分かってしまうというジレンマがあった。この教訓から以後のランナーは分かりにくい道を走っている。

「負けないで」が武道館で歌われ、ランナーがゴールを迎える流れは2年目で完成された。

五味「マラソンがここまで成功すると思っていた当時のスタッフは誰もいないんじゃないですか」

「24時間テレビ」はほかにも富士登山などさまざまな挑戦モノを見どころとするが、何が起こるか分からない生放送中にリアルタイムで現場に指示を出すため、五味氏ら演出側と現場スタッフがケンカに近い状態になったことも幾度かあったという。五味氏は「生放送の醍醐味を、命を削るほど味わった」と振り返る。

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