官邸「機能不全」で急浮上する「岸田総理」自滅へのカウントダウン 自民党幹部も「非常に危険な状態」

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「岸田総理はリーダーシップを示そうとするあまり、旧統一教会問題で前面に出すぎている。クッション役がいない。イギリスではトラス首相が政策の失敗で引責辞任したが、岸田首相も危ないんじゃないの」

 こう語るのは自民党の閣僚経験者。岸田文雄総理は、旧統一教会への解散命令請求に向けた質問権の行使に踏み出し、被害者救済のための法案を検討する与野党協議会の立ち上げを決めた。これは世論の支持を得るための窮余の一策だが、自身が前面に出た場当たり的な対応で賭けに出た感は否めない。ようやく教団との深い関係が指摘されていた山際大志郎経済再生担当相の、事実上の更迭は決めたが、自民党内でも岸田総理が進退窮まる可能性が語られ始めた。【青山和弘/政治ジャーナリスト】

方針を一転 解散命令請求へ

 岸田総理は10月17日に開かれた予算委員会初日の質疑が始まる直前、これまでの慎重姿勢を一転、旧統一教会に対して宗教法人法に基づく質問権を行使するよう永岡桂子文科相に指示した。この解散命令請求に向けた動きは、岸田総理が水面下で検討してきたものではない。河野太郎消費者相が消費者庁内に立ち上げた検討会が、質問権を行使するよう求める報告書の提出を予算委員会の初日に合わせてきたことで急遽踏み切ったものだ。

 報告書が提出されれば、岸田総理がその提言をどう受け止め、どう対応するのか、予算委員会で必ず問われる。支持率が低下する中で慎重姿勢は貫けないと、方針転換に追い込まれたのだ。だが岸田総理は質疑の中では、自らのリーダーシップをアピールした。

「私が責任をもって、未来に向けて旧統一教会の問題を解決していきたい」

 この答弁によって、岸田総理は旧統一教会問題の解決の責任を背負うことなった。

馬脚を現した答弁

 しかし急な方針転換は、すぐに答弁の論理破綻となって馬脚を現した。翌18日の予算委員会で岸田総理は解散命令請求の要件となる「法令違反」の解釈について、こう明言した。

「民法の不法行為は入らないという解釈だ」

 民法の不法行為を含めるかどうかは、消費者庁の検討会でも大きな論点だった。旧統一教会は民事訴訟では29件の敗訴が確定しているが、刑事事件での有罪確定判決はない。要件となる「法令違反」にこの民事訴訟の判決も含めることで、何とか解散命令請求に持っていけるという論理構成だった。これを岸田総理はいきなり否定したのだ。答弁の直後、検討会メンバーの一人は失望を隠さなかった。

「これは旧統一教会への質問権行使の指示はしたが、解散命令請求まではする気がないということだ。1日で全部がひっくり返った」

 これに慌てたのが岸田総理本人だった。夕方、急いで法務省の専門家などを招集して議論し、この日の答弁を一転させることを決めた。そして翌日の参議院予算委員会。

「行為の組織性や悪質性、継続性などが明らかとなり、宗教法人法の(解散命令請求の)要件に該当すると認められる場合には、民法の不法行為も入りうるという考え方を整理した」

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