岸田首相の狙う「広島サミット」後に解散総選挙というシナリオが失敗に終わる理由

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サミットと解散の関係

「4月の統一地方選で与党が勝利し、5月19日から出身地・広島で開催されるサミット成功の余勢を駆って解散総選挙という流れがベストシナリオだそうです」(同)

 しかし、これまで何もやっていないと揶揄され続ける首相が、あと1年足らずで成果らしきものを打ち出せるだろうか。その見込みが立たないからとりあえずサミットで何かアピールして……というスタンスで果たして国民の理解を得られるのか甚だ疑問ではある。それでもサミット後の解散が囁かれるのには理由がありそうだ。

「実は、日本でのサミット開催年と衆院解散の関係については、6回開催して4度解散というものがあります。直近の2016年伊勢志摩サミットでは、後の参院選に絡め、同日選を考えていたことを当時の安倍元首相が明かしています」(同)

 首相の解散したい気持ちを盛り上げるような効果がサミットにはあるのだろうか。

「G7首脳を議長として従え、野党の出る幕は一切ないことから首相有利に働くとの見方が通説なのですが、大平正芳氏で敗北、宮澤喜一氏で下野、森喜朗氏で大敗とイヤなジンクスもつきまとっています」(同)

主流派と日主流派の見方が一致

 解散した4度のうち、明確な勝利は1986年の中曽根康弘首相による衆参同日選での大勝だけだと言えるだろう。

「宮澤氏の場合は内閣不信任案を叩きつけられて選択した解散の後にサミットがあり、森氏による解散は衆院の任期満了のおよそ4ヶ月前でした。サミットとの関係はさほどないかもしれませんし、いずれにせよ勝率が良いとも言えないですね」(同)

 先の解散は2021年10月。そこから2年足らずでの選挙となれば、その理由についての説明責任はハードルが高くなるのは間違いない。ちなみにその後のスケジュールについては2024年秋に自民党総裁任期満了、2025年夏に参院選、2025年秋に衆院任期満了となっている。

「安倍、麻生、茂木、そして岸田の各主流派閥が連携していれば政局は起こり得ないというのが、一般的な見方です。二階氏や菅グループなどの反主流派もそれをよくわかっており、コトを起こすにしても適したタイミングが来ることを模索している状況でしょう」(同)

 ともあれ、そんな先のシナリオを思い描く前に、目の前の課題を解決してほしいというのが大多数の国民の希望ではないだろうか。

デイリー新潮編集部

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