世界から笑われる日本のコロナ対策、どこで道を誤った? 病床1床の確保に2億円、高齢者に使われたお金と若者が払った犠牲

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若い世代が払った犠牲

 史上まれに見る浪費によって、高齢者の余命を守る一方で、若い世代がどれだけ犠牲を払わされたか。大竹氏が述べる。

「大学もオンライン授業を続け、学生がチームワーク等を通じて社会性を育む点で、かなり影響を受けたと思います。社会人も出会いが減って婚姻数の減少につながり、その結果、さらに少子化を招くところも大きなコストでしょう。それに外国はもう少し早く制限を解除したのに、日本はワクチン接種が進んでからも厳しい行動制限を続け、いまもマスクを着けたままです。顔も表情もわからず、コミュニケーションのレベルは下がると思います。子供がいまも小学校でマスクをし、給食が黙食なのも、教育に影響があるでしょう」

高齢者の幸福につながらず

 しかし、高齢者を守るためのコロナ対策及び予算が、本当に高齢者を守ってくれたわけではない。老年医学専門の精神科医で、『80歳の壁』をはじめベストセラーを数多く上梓している和田秀樹氏が言う。

「コロナ対策は、中長期的にみれば高齢者の幸福につながっていません。高齢者の臨床を行っている私がみるに、ステイホームで要介護の高齢者がかなり増えます。外出をしないために足腰が弱り、大腿骨骨折で入院すると、見舞いも制限されるので精神的にも弱ってしまう。コロナは怖いと騒ぎ、対策にお金を投じるほど高齢者の免疫機能は落ち、死亡者が増える。コロナ対策にお金を使うのではなく、高齢者を自由に歩かせるのが大事だったのです。お金は、たとえば学習や社会参加を支える費用、生きがいづくりや健康づくりなど、高齢者が自由に歩いて、学んだり交流したりできる環境整備に費やすべきでした。そのほうがよほど、高齢者の命は守られました」

 高齢者の命を守ると謳い、現実にはコロナ患者を診ない医療機関まで救って若者も高齢者も弱らせ、日本沈没に向かわせたコロナ対策。徹底検証し、諸外国にも目を向けながら日本の愚を矯正すべきだ。そうしないと、日本は本当に沈没する。

週刊新潮 2022年10月20日号掲載

特集「病床1床になぜ2億円!? GoToと休業補償は9.2兆円! 壮大なムダのじゃぶじゃぶで日本沈没  100兆円超『コロナ対策総決算』を特別監査」より

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