「ダイソン」一強時代が終えん 日立とパナソニックの強烈な巻き返しで掃除機市場は戦国時代へ

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ダイソンの不満点

「『見せる家電』と呼ばれたこともありました。昭和の時代、掃除機は押し入れに収納する家庭が多かったはずです。ところがダイソンのスティック型クリーナーは、壁に立てかけても映えます。その結果、掃除をしようと思い立ったら、すぐ手に取って動かすことができる。コードレスですから取り回しも楽です。デザイン性が利便性にもつながったことが、人気の理由の一つだったのではないでしょうか」(同・鎌田氏)

 だが、ユーザーが増えれば増えるほど、不満の声もそれに比例していったという。

「価格.comの『レビュー』に投稿された不満点で多かったのが『重い』でした。ダイソンのスティックタイプは、重さが2キロ台です。欧米のように住居が広く、下向きの掃除が多いと感じないのですが、日本の住居は狭く、高いタンスや棚を掃除するためノズルを上に向けることが少なくなかったのです」(同・鎌田氏)

 高評価を聞いてダイソンを買ったものの、ノズルを上に向けると2キロ台の重さが厳しかったというユーザーもいたようだ。

「更にダイソンのスイッチは引き金式です。今はボタン式を採用したモデルもありますが、価格.comのレビュー欄には『トリガーを引き続けるのは指が痛くて大変』という投稿がよく見られました」(同・鎌田氏)

“日の丸人気”復活

 一方、国内メーカーはダイソンの背中を必死になって追っていたのだが、迷走していた時期もあったという。

「ダイソン以上の吸引力を実現したのはいいが、非常に重いものなど、首を傾げざるを得ないモデルが発売されたりもしました。長い不景気で商品開発費が削減されたことも大きかったでしょう。開発現場の苦労は並大抵のものではなかったと思いますが、ここ数年はユーザーの希望に向き合った商品が開発されるようになり、ようやくダイソン追撃のムードが高まってきました」(同・鎌田氏)

 実を言うと、ダイソンの名を高めたサイクロン技術は日本の家電メーカーも実用化していた。「我々の掃除機は世界一」という傲りもどこかにあったのかもしれない。

「率直に言って、そこをダイソンに付け込まれたというのが、これまでの10年間だったと思います。しかし最近、国内メーカーの商品は軽くて吸引力も高い優れたモデルばかりです。ダイソンの重量に不満だったユーザーなどを取り込み、買い替え需要で売上を伸ばしています」(同・鎌田氏)

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