暴言王「泉房穂明石市長」をアンガーマネジメント専門家はどうみたか

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 10月12日、市議や市の職員への暴言が度々問題になった明石市の泉房穂市長(59)に対する問責決議が賛成多数で可決された。泉市長は責任を取り、来年4月の任期満了で政治家を引退すると表明した。それにしても、なぜ市長は懲りずに暴言を吐いたのか。怒りを制御するためのアンガーマネジメントを実践していたというのだが……。

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 泉市長の暴言の中で、最も酷かったのは2017年6月14日の発言だろう。明石市駅前の国道2号の道路拡幅工事で、立ち退きに応じなかった建物のオーナーを説得できなかった市の職員に対し、こう言い放った。

《立ち退きさせてこい、お前らで。きょう火付けてこい。燃やしてしまえ。ふざけんな。今から建物壊してこい。損害賠償を個人で負え。》

《お前ら1人ずつ1000万円出せ。すぐ出て行ってもらえ。あほちゃうか、そんなもん。ほんま許さんから。辞表出しても許さんぞ。なめやがって。早くやっとけばとっくに終わってた話を。どないすんねん。悠長な話して。たった1軒にあと2年も3年もかけんのか。何をさぼってんねん。7年も。自分の家売れ。その金払え。》

「お前ら落としたるからな」

 とても市長とは思えない発言である。泉市長は民主党代議士を1期務めた後、2011年4月、明石市の市長選に無所属で出馬し、初当選を果たす。2015年4月の市長選で再選した。

 ところが2019年1月、先に紹介した部下に暴言を吐いた際の録音データが報じられ、2月に辞職した。もっとも、同年3月の市長選に再出馬、他の候補に圧勝して当選した。翌4月に任期切れだったが、無投票で4選を果たした。

 しかし、その後も暴言は続いた。2020年1月、住民が参加した小学校区の新年会で、泉市長は2001年の明石歩道橋事故以来中止になっていた「明石市民まつり」の再開をめぐって市議と口論となり、市議に「もう議員辞めてまえ」などと暴言を2回浴びせた。

 2022年3月、2人の副市長が任期途中で突然退任し、大騒ぎとなった。9月28日、地元テレビ局が、辞任した副市長のインタビューを報じた。副市長2人の辞任の原因となったのは、明石市が不動産会社から買収したJR大久保駅の南側の土地だった。この土地の買収の過程で、泉市長が不動産会社と交渉にあたった職員に「お前ら不動産会社から金もうてんのか」と言ったという。副市長2人は態度を改めるよう辞表を手に泉市長に直談判したものの、「あぁそうですか」で終わったというのだ。

 これ以上放置しておかないと、2022年10月6日、自民党と公明党の市議13人が泉市長に対して問責決議案を議会に提出。すると10月8日、市立小学校の創立150周年式典会場で、問責決議案に賛成すると思われる女性市議に顔を近づけ「お前、賛成するなら許さんからな」と3回繰り返した。また、市議会議長にも「問責なんて出しやがって。ふざけとるんか。お前ら議員なんか(選挙で)落としたるからな」と発言したという。

 これでは問責決議案が可決されるのも仕方あるまい。それにしても、なぜ暴言を止められないのか。

「泉市長に関する報道を見る限り、彼は自分の感情を最優先にして行動している印象をうけます」

 と解説するのは、日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介代表理事。

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