ドラフト戦線に異変 東大、京大、名大…難関国立大の選手がズラリ スカウト陣の評価は?

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10球団のスカウトが集結

 2人目は、名古屋大の151キロ右腕、本田健悟だ。愛知県屈指の進学校、明和高では、故障もあって目立った成績を残すことはできなかった。その悔しさを晴らすように、名古屋大では1年秋からリーグ戦に登板。当時チームのエースだった松田亘哲(現・中日)がプロ入りしたことに刺激を受けて、その後も成長を続け、今年、春のリーグ戦では、愛知大学野球の二部リーグながら6勝0敗という圧倒的な成績を残している。

 愛知大学野球の二部リーグは、昨年も安田悠馬(愛知大→楽天2位)が上位指名されていることからも分かるように、全国的に見てもレベルが高い。その中で本田がここまでのピッチングができるというのは、高い実力の証明と言えるだろう。身長は175cmと、水口のような上背はないとはいえ、ストレートはコンスタントに145キロ前後をマークし、スタミナも十分だ。8月に行われた静岡大との定期戦にも10球団18人のスカウトが集結しており、その注目度の高さが伺えた。

「体は大きくありませんけど、ピッチャーらしいピッチャーだと思いますね。コントロールがいいし、緩急の使い方も上手い。先発として、しっかり試合を作れます。今はセーブしながら投げている部分があるので、まだスピードも出るかもしれません。注目候補のひとりであることは間違いないと思います」(東海地区担当スカウト)

プロ入りを目指す文武両道の選手たち

 名古屋大からもプロ入りとなれば、先述した松田に続いて2人目となる。昨年指名された安田以外にも、浅尾拓也(元中日、日本福祉大出身)、田島慎二(東海学園大→中日)、中尾輝(元ヤクルト、名古屋経済大出身)など愛知二部リーグ出身の選手が多く活躍している。こうした状況も、本田の指名を後押しする材料になりそうだ。

 このほか、東京大から初の野手としてプロ入りを目指す阿久津怜生が、秋のリーグ戦で2本のホームランを放つ活躍を見せている。一方、地方リーグでは195cmの超大型ショート、山保健太郎(小樽商科大)や、最速147キロを誇る変則サイドスローの平岡佑梧(香川大)など、スカウト陣のなかで話題になった選手もいる。文武両道の男たちが、果たしてプロの世界へと足を踏み入れることができるのか。運命の日はもうすぐだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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