ドラフト戦線に異変 東大、京大、名大…難関国立大の選手がズラリ スカウト陣の評価は?

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いまだかつてない現象

 10月20日に開かれるドラフト会議が迫ってきた。開催2週間前の10月6日にはプロ入りを希望する高校生と大学生に義務付けられているプロ志望届の提出が締め締め切られた。大学生は史上最多となる187人の名前が公表されたが、これまでにはなかった“現象”が起こっている。志望届を提出する国立大学の選手が非常に多いのだ。【西尾典文/野球ライター】

 一覧にして並べてみると、以下のような顔ぶれとなっている。

山保健太郎(小樽商科大)、井沢駿介(東京大)、阿久津怜生(東京大)、本田健悟(名古屋大)、横井文哉(名古屋大)、水口創太(京都大)、愛沢祐亮(京都大)
山田勇斗(神戸大)、岡崎総一郎(神戸大)、丹波夏希(神戸大)、平岡佑梧(香川大)、渡辺光洋(高知大)、大井竣平(福岡教育大)、山田健太(福岡教育大)
松本虎(鹿屋体育大)、古殿聖月(鹿屋体育大)

 その数、実に16人。東京大、京都大、名古屋大など超難関大学の選手も含まれている。もちろんNPBだけではなく、国内の独立リーグ入りを主に目指している選手も含まれていると思われるが、それでもこれだけ多くの国立大学の選手が“プロ”を目指すというのは、いまだかつてなかったことである。

 なかでも2人の投手にNPBのスカウトから熱い視線が送られている。

京大の最速152キロ「右腕」

 1人目は京都大の水口創太だ。高校時代は、滋賀県でナンバーワンの進学校である膳所高でプレーしており、1年間の浪人を経て京都大に入学。リーグ戦デビューは3年春と遅かったが、その秋には「ほっともっとフィールド神戸」のスピードガンで152キロをマークして、一躍注目を集めるようになった。

 身長194cm、体重94㎏という恵まれた体格が最大の魅力で、少しギクシャクしたフォームでありながら、指にかかった時のボールは勢い、角度ともに申し分ない。医学部の人間健康科学科に在籍しており、最終学年の今年は、理学療法士の資格を取るための実習があった影響で、少し登板機会を減らしているが、秋のリーグ戦はここまで4試合、9回を投げて1失点と好投している(10月7日現在)。

「まずは何よりも体が大きいのが魅力ですよね。今年は学業の方が大変なのか、少しスピードも制球も苦しんでいるように見えますが、それでもあれだけの長身で角度のあるボールを投げられる投手は貴重です。野球に専念して、しっかり鍛えれば、まだまだ良くなる可能性は高いですよね。本人も育成でもプロに行くと言っていますし、将来性を買って指名を検討する球団も必ずあると思います」(近畿地区担当スカウト)

 京都大からは2014年に田中英祐がロッテから2位で指名されている。今年のドラフト会議で水口の名前が呼ばれると、京都大野球部で史上二人目の快挙となる。

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