「五輪汚職」で悪者扱い 「大広」の知られざる「功」と「罪」

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 AOKI、KADOKAWAに続き、大広にも新たな逮捕者が出て、東京五輪をめぐる贈収賄事件はさらなる広がりを見せている。いずれも組織委員会の元理事・高橋治之容疑者に絡む事件で、組織委員会の中枢や政治家の関与にまで捜査が及ぶのかどうか、まだ明らかではない。

スポーツ・ビジネスの浄化

 少し冷めた目で、この事件を俯瞰すると、「日本国民が五輪ビジネスに幻滅し、これまでの五輪への好意的な印象は崩壊した」「いまも続けられている2030札幌冬季五輪招致に反対する人は半数を超えただろう」といった世論の変化につながっている。しかし、実は何がいちばん問題だったのか? 本質は曖昧で、どうすればスポーツ・ビジネスは浄化するのかという改革の方向性は何ら見えていない。

 オリンピックの好感度が下がったことは言うまでもない。無邪気に五輪招致を望む国民は大幅に減っただろう。果たして、それが特捜部の狙いだったのか?

 大広と聞いて、私は複雑な感慨に襲われた。容疑の内容を聞けば、他の案件にも増して贈収賄の認識が明確で、悪質なカラクリが用意されていたように感じる。この件に関して同情の余地はない。だが、大広という広告代理店がこれまでスポーツ界に果たしてきた貢献に思いを馳せると、今回の報道でただ悪質な企業として報じられる空しさも覚えるのだ。

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