丸山礼に3時のヒロイン・かなで なぜ女性芸人“ポジティブなブス”役ばかり?

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相次ぐ漫画の実写化でも……女性芸人が主役になるのは「ポジティブすぎるブス」ばかり?

 春菜さんらの活躍を受けてか、女性芸人が主役や準主役に抜擢されることが続いた。それが「カンナさーん!」の渡辺直美さんと、「人は見た目が100パーセント」のブルゾンちえみこと藤原しおりさんである。ドラマの共通項はマンガ原作であること、そして主人公が「ポジティブすぎるブス」であることだ。

 正確には「ブス」とは決して言われない。デブではなくぽっちゃり、あるいはパワフル。足りないのは美貌ではなく女子力。周りの反応が微妙でも、おかまいなしに鼻息荒く突き進むヒロイン像が良くも悪くも笑える、という作品だった。

 丸山さんとかなでさんが主演を務める二作品も、原作が注目を集めたのは「ポジティブすぎるブス」っぷりという点は否めない。宣伝に使われたシーンは、主人公の残念な容姿と勘違いぶりが切り出された場面ばかり。イケメンにも自信満々で接するヒロインが、現実を突きつけられてヘコむ姿が見たい。そんな嗜虐心を刺激する側面があったのは確かである。

 実際のストーリーは違っても、「ポジティブすぎるブス」のあわれな末路を期待する人が、それだけ多かったということなのだろう。そういう役は、いくら演技力がある女優がやってもリアリティーがない。むしろ美人だとイヤミに映る。だから人気女性芸人に白羽の矢が立つということだとしたら、ちょっと笑えない話だなと思う。

暗い美人より明るいブス、だけど明るすぎるブスはNG? 敏感な感受性ゆえに鈍感ヒロイン演技がうまい女性芸人たち

 暗い美人より明るいブス、とはよく言われるものの、明るすぎるブスは滑稽だし恋愛対象外。そういう意地悪な視線がまだまだ根強くあるということかもしれない。でも一つ言えることは、演技が上手な女性芸人たちはみな、そうした意地悪な視線を冷静に観察してきた人たちばかりだろうということだ。丸山さんのあるあるネタや、かなでさんのコントでの姿を見ると、カンにさわる女性を高い解像度で再現しているのがわかる。

 主演を務める女性芸人はとかく批判されがちだが、実際に求められるのは華やかさよりも滑稽さ。固定化された勘違いヒロイン像を期待され続ける女性芸人の胸の内は、なかなか複雑なのではないだろうか。丸山さんは美容感度の高さでファンも多く、かなでさんは二重整形を告白したばかり。ことさら容姿の面白さが強調される役は、思うところもあるだろう。

 でも鈍感な人間を強烈に演じられるのは、人の心に対する敏感なセンサーがあってこそ。主演を引き受けた彼女たちの覚悟を鼻で笑うのではなく、笑顔で見守りたい。そして体形の豊かさうんぬんではなく、ヒロイン像のバラエティーの豊かさを面白がれる流れを作ってくれることを期待したい。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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