巨人、衰えた「坂本勇人」の後釜をどうする? 気になるドラフト候補の“実名”

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フットワークと肩の強さは一級品

 松尾は捕手としても、もちろん評価が高いが、中学まではピッチャーとショートを兼任しており、甲子園では試合途中からショートの守備についた経験もある。バウンドの合わせ方などは、まだぎこちなかったものの、フットワークと肩の強さはやはり一級品で、スカウト陣からは、打撃を生かして内野手で勝負した方が良いという声も少なくない。松尾は有力な上位候補だが、巨人としては、浅野を外した時に、仮に松尾が残っていれば、内野手として「外れ1位」で狙うのも面白いだろう。

 内田は右のスラッガータイプとして、注目を集めている選手だ。投手としては最速149キロを誇り、リリーフで登板することも多かったため、その負担を考えてファーストを守っていたが、その動きはとても一塁手とは思えないスピード感がある。

 担当スカウトは、次のように内田の実力について分析している。

「ファーストしか“できない”のではなく、ファーストしか“やっていない”だけですね。動きと肩を見れば、当然、他のポジションで育てたいという話になると思います。ピッチャーとしても魅力がありますし、何より練習態度やプレーから野球が大好きだというのが伝わってくるのがいいですよね。見る人によって、投手か野手か、意見は分かれそうですけど、どちらにせよスケールの大きい選手になる可能性はあると思います」(セ・リーグ球団スカウト)

 内田も上位候補と言われているわけではないが、他のスカウトからも「高校生の内野手で面白いのはイヒネと内田」という声も聞かれる。どうやら、密かに狙っている球団も多いようだ。巨人は、可能であれば、2位以降で指名したいところである。

スイングの形が坂本と似ている

 一方、久保は、今年になって急浮上してきた外野手。肩の強さと俊足は、圧倒的なものがあり、センターの守備範囲も広い。そして、坂本と重なるのがバッティングのスタイルだ。大きく構えてゆったとタイミングをとり、少し体勢を崩されてもリストの強さで飛ばすことができる点はよく共通している。

 筆者が実際に見た試合でも、変化球に泳いでセンターフライとなった打席があったが、合わせたようなスイングでも思いのほか飛距離が出ており、スイングの形は坂本とよく似ている。

 外野からショートのコンバートなど、野球に詳しくない素人が考えることではないかという声は当然多いだろうが、球史に残るショートである坂本の後釜を探すのであれば、それくらいの思い切ったことを試してみることも必要ではないだろうか。そして、久保はそんな想像をさせる能力の持ち主である。

 坂本レベルの選手がそう簡単に見つかることはないことは確かだ。だが、坂本自身もドラフトでは1位指名だったものの、巨人が堂上直倫(中日)を外した後のいわゆる“外れ1位”であり、当時は、そこまで圧倒的な評価を得ていた選手ではない。

 そこから球史に残るショートに上り詰めたことを考えると、意外なところから「ポスト坂本」が出てくることも期待できるはずだ。果たして、巨人が坂本の後継者を求めてどんな指名をするのか。今年のドラフトの大きな注目ポイントの一つと言えるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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