ミスは絶対許されない国葬警備 警視庁が「反対派デモ」より気にする“7年前の大失態”

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 日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年9月に『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、安倍晋三元首相の国葬警備について聞いた。

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 9月27日に行われる国葬は、これまでにない警備体制が敷かれるという。

「安倍さんは警備の不備によって凶弾に倒れたわけですから、国葬では警備の失敗は絶対に許されません」

 と解説するのは、勝丸氏。

「会場となる武道館では、9月24日までコンサートが行われます。チケットがあれば誰でも入場できるので、テロリストが時限爆弾を仕掛ける可能性があります。25日、26日の2日間で爆弾探知犬や金属探知機などを使って、あらゆる場所を徹底的に調べることになります」

国葬反対派のデモ

 国葬当日は、武道館に入場する際、ゲート式の金属探知機をくぐり、手荷物はハンディ式金属探知機で検査されるという。

「海外から来るVIPは、都内の一流ホテルに宿泊します。ホテルから武道館までの道路が警備対象となります。爆弾が仕掛けられていないか沿道にあるマンホールや信号機などにある電源ボックスなどは全て調べます。爆弾探知犬も導入します。これまで爆弾探知犬は会場の周辺だけに配置するのが普通でしたが、今回は特別警戒ですので、沿道にも配置することになるでしょう」

 海外のVIPは、大型バスでホテルから武道館まで送迎されるという。

「バスの前後にパトカーをつけ、さらにパトカーの前と後ろにも白バイを配置。会場までの沿道の信号機には警察官が待機し、バスがきたら手動で青信号に変え、武道館までノンストップで運行します」

 警視庁が恐れているのは、国葬反対派によるデモだという。

「世論の50%以上が国葬に反対なので、デモ参加を呼びかければ、かなりの人数が集結すると思われます。実際、8月31日、『戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会』が国葬反対を呼びかけて国会正門前に約4000人が集まった。この集会でもすでに、国葬が行われる27日午後2時に国会前に集まろうと呼びかけています」

 さらに、世界最大の署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ」の国葬反対のネット署名は15万人以上集まっている。

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