スタンガンで「女子高生」を脅して強制わいせつ 「ウーバー配達員」が法廷で語った異様な執着

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女子高生への憧れと背徳感

 9月1日の被告人質問でも歩くことがおぼつかないのか、車椅子で登場した藤野被告。スーツ姿に背筋を丸めた藤野被告が乗る車椅子を職員が押し、証言台の前につけられた。傍聴席から見る背中は左肩が極端に下がっていた。

 この日、まず藤野被告は、服役中に受講した再犯防止プログラムに触れ、再び犯罪に手を染めない意欲があったと熱弁をふるった。猫背で弱々しい姿から発せられる声は大きく、はっきりとした口調で、さながら採用面接にやってきた就職希望者の如くである。

「週2回、9ヵ月……、主に同じような犯罪を犯した人とグループになって、生い立ちや事件について語り合い、なにが問題か、また改善点などを話し合いました。そのときに犯罪を犯す理由を考えましたが、私は高校時代に、背徳感を伴う性的な経験があり、孤独の穴埋めのためにそれを思い出してしまいました。孤独感については出所後に対策として、私の前科については報道されていなかったので、中で勉強していた英会話を続け、また以前は動物を飼っていなかったので飼ったりしました。友人に連絡を取り、会おうともしましたが、コロナのために会うことはできませんでした」(被告人質問での藤野被告の発言)

 背徳感を伴う性的体験とは、藤野被告によれば、自身が高校時代に足を踏み入れた風俗店での性体験だったという。

「自分が高校生当時から、触れ合うことができなかった『女子高生』に憧れを持っていました。加えて、いわゆるブルセラや援助交際などの対象も女子高生。性的快感、私の高校生の時の風俗経験が背徳感を伴っており、それと女子高生が紐づいていました」(同)

 つまり、高校生時代の藤野被告は、遠巻きに眺めることしかできなかった同じ年頃の女子に憧れを抱き、込み上げる性的な衝動を風俗店で慰め、そこで覚えた快感と背徳感を忘れられないまま、以降も「女子高生」への思いを募らせ続けていたのだ。

「偶然が重なった」

 ここまで自分の内面を分析していたにもかかわらず、また、「仮釈放後、しばらくは女子高生を見ても犯罪をしようとは思わなかった。タバコや酒……、アル中の人や喫煙者が1回禁煙、断酒したら飲みたいとか思わなくなるのと同じだと思っていました」(同)と、内省や刑務所内でのプログラムに手応えを感じていたにもかかわらず、仮釈放からほどなく“のぞき”を始める。

 そのきっかけについて、藤野被告は「偶然が重なった」からだと説明した。

「配達の仕事をしていると、普段は21時くらいから注文がなくなってきます。その日は偶然、23時くらいまで注文が続き遅くなっていました。その中で、普段からよく通っていた場所を走行中、ある住宅からシャワーの音がして、浴室が……。それに加えて、偶然、女子高生が親と帰宅したのを見たことがあるのを思い出し、偶然が重なった中で……。かといって、興奮が高まったとかではなく、私の中でこの感情を表現できる言葉が見つからない。強いて言えば、高校時代の風俗の充足感に似たものを感じて、得もいわれぬ感覚を……。悪いことだと分かっていましたが、これは自分に必要な悪なんだと思い、せめて気付かれないようにしようと思いました」

 のぞきという“悪いこと”は、自分がさらなる凶悪犯罪に踏み出さないために必要なもの。そんな身勝手な理屈を語る藤野被告は、その後、週4日のペースで驚くべき行動に出る。あろうことか、「盗撮Gメン」を始めたのだ。

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