衝撃!智弁和歌山「ドラフト有力候補」、プロを拒否して米国大留学へ…新たな潮流になるか

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セカンドキャリアにもメリット

 スポーツによる留学を支援している、アスリートブランド株式会社の根本真吾代表は「今回の武元のような事例は非常に画期的なことだ」という。

「弊社のプログラムから留学している選手は年々増えており、今年は野球だけでも約30人が留学しています。中には強豪校出身の選手もいて、現在、社会人で活躍している秋利雄佑選手(常葉菊川→愛知学院大中退→スカジットバレー大→カリフォルニア州立大学ノースリッジ校→三菱重工名古屋→ヤマハ)もその1人です。ただ、高校の時点で、武元選手のようにドラフト指名が有力な選手というのは初めてではないでしょうか。留学のメリットはやはり語学をしっかり取得できるということと、米国での生活に慣れることができるというのが大きいですね。米国の大学は野球だけをしていればいいわけではなく、勉強もしっかりしないといけないです。当然、大変なことはありますけど、仕組みとしてそういう環境があるのは大きいですよね。仮にアスリートとしてプロになれなかったとしても、プラスの面は非常に大きいと思います」

 根本代表によると、目指していたメジャーリーガーにはなれなくても、米国の大学での経験を生かしてビジネスマンとして活躍している元留学生も少なくないという。日本ではプロ選手でもセカンドキャリアが問題となることが多いが、そういう意味でも留学のメリットは大きいと言えそうだ。

思考力と決断力は大きな武器

 気になるのはやはり費用や学費の面だが、その点も決して膨大なお金が必要なわけではないと根本代表は話す。

「今は円安なのでどうしても以前より(日本円に換算すると)高くなってしまう面はありますが、学費に関しては日本の私立大学にかかるものと比べて、特段高いというわけではありません。また、奨学金の制度が充実していて、弊社のプログラムを利用して留学した選手でも奨学金を受けている選手は多いです。それに武元選手クラスのレベルであれば、奨学金を獲得できる可能性は高いと思います。今回のことをきっかけに、将来有望な選手が留学を目指すケースが増えるかもしれませんね」

 特に、強豪校の選手は、監督の指示通りに進路先を決めているというケースが多いという話を聞くが、そんな中でも今回の武元の挑戦は非常に画期的なものであることは間違いない。また、野球のスキルはもちろんだが、そうやって自分で考えて決められる思考力と決断力は、武元自身の大きな武器と言える。武元が成功を収めれば、米国の大学を経由してメジャー入りを目指す選手が増えることも十分に考えられるだろう。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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