「ちむどん」失敗の研究 視聴者を釣り上げ、結末は薄い展開は理解不能

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

忖度しないキャラ設定が災いした暢子

 一方、暢子の場合は忖度しないキャラに設定したことが災いした。官僚が乱用したため、その意味を誤解する向きもあるが、忖度とは「他人の気持ちを推し量る」ことであり、子供でない限り、誰もが求められている。

 ところが暢子は忖度しない。そんなキャラが初めて鮮明になったのは第4週「青春ナポリタン」である。県北部にある5高校の料理部が腕を競った「北部産業まつり ヤング大会」で、暢子のいた山原高は優勝した。

 その前の選考中、暢子はライバルの南山原高が出品した「さんぴん茶の葉の蒸しケーキ」を食べた。「おいしい!」と一度は誉めたものの、すぐに「甘いばかりで勿体ない」とダメ出し。さらに「塩を足したらより美味しくなる」と助言した。南山原高の料理部員は目を丸くした。忖度できないのだ。

 これに留まらない。暢子は高3なのに就職が決まっていなかったため、親しい共同売店店主・前田善一(山路和弘)が食品会社に渡りを付けてくれた。その会社の総務課員が前田と一緒に「北部産業まつり」に来ていた。

 にもかかわらず、優勝に気を良くした暢子は来場者に向かって、「東京に行って料理人になりたい!」と宣言してしまう。前田は立場がない。食品会社も顔色を失っただろう。やはり忖度できない。

 暢子は小5だった第1話で父親の賢三(大森南朋)から「暢子は暢子のままで上等。自分の信じた道を行け」と言われたこともあってか、ほとんど変わらない。朝ドラはヒロインの成長記という側面もあるが、暢子は違う。

 アンチ暢子派からの反感が決定的になってしまったのは、やはり大野愛(飯豊まりえ)への背信に違いない。第8週「再会のマルゲリータ」で暢子は沖縄に一時滞在していた青柳和彦(宮沢氷魚)と10年ぶりに再会。和彦の恋人の愛とも知り合う。

次ページ:略奪より愛との友情を踏みにじったことが問題

前へ 1 2 3 4 次へ

[2/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。