「立浪中日」阪神ヘッドコーチの「横取り」に暗雲 ナンバー2不在で「独裁」に拍車も

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幻に終わった「宮本ヘッド」

 立浪監督は昨秋の監督就任時、ヘッドコーチにはPL学園高の後輩に当たる宮本氏に白羽の矢を立てた。

「慎也の厳しさは球界でも有名。(2008年の)北京五輪では(04年の)アテネ五輪に続き、星野(仙一)監督にキャプテンに抜てきされた。選手には耳が痛く嫌われるようなことも、監督自らが言わなくても代わりに指摘するなど、進んで汚れ役を引き受けてくれる。監督にしてみれば、これほどありがたく、頼りになる存在はいない。立浪監督にも似た狙いがあったのだろう」(同前)

 最終的には評論家契約などが就任の障害になって辞退に至ったとされ、「中日・宮本ヘッド」は幻に終わった。立浪監督は再考を余儀なくされ結局、落合ヘッドという苦肉の策を採らざるを得なかった。

「英二は選手に寄り添うタイプ。案の定、『野手のことは分からないから無理』とシーズン序盤から弱音を吐いていたようだ。一樹が中日に戻ってくると予期していたこともあっただろう。もうその頃には『来年はヘッドを交代して欲しい』と話していたと聞いた」(前出の中日関係者)

「片岡2軍監督」の昇格案も

 各担当コーチを束ね、その分年俸も高いヘッド職の迷走――。来季の「井上ヘッド」が頓挫したケースでの代替案はいくつか想定される。

 まずは、井上氏をかつて中日でその職に就いた2軍監督に据え、立浪監督のPL学園高時代の同級生である片岡篤史2軍監督を、これも阪神の金本知憲監督時代に経験済みのヘッドに転身させるプランだ。

「井上氏の2軍監督は1軍のヘッドより当たり障りがない。阪神に最低限の義理立てはできる。落合氏も投手コーチに専念できる。井上氏は2軍監督であっても、阪神ヘッドとして知り得た情報を1軍と共有することは可能。立浪監督の契約最終年の24年シーズンに片岡氏と井上氏の2人を入れ替え、満を持して井上氏をヘッドにしてもいい」(中日担当記者)

 あえてヘッドコーチを置かないという手もある。実際に中日では12、13年の高木守道監督時代がそうだった。球界で過去を遡っても“ヘッド不在”は珍しいことではない。

 そして何よりも中日の現状で、そもそもヘッドの必要性を感じていないチーム関係者が少なくないというのだ。

「監督は京田(陽太)と周平(高橋)を評価しておらず、積極的に他の若手を起用している。この間(8月下旬)は(正捕手の)木下拓哉を不可解なタイミングで2軍落ちさせており、他選手も“次は自分の番かもしれない”と戦々恐々としている。監督は自分が専門の野手の取り扱いに関しては独善的で、ヘッドがいなくてもチームは機能すると言わんばかり」(前出の中日関係者)

 この関係者は、就任前から立浪監督の「独裁」や「恐怖政治」を予期していたという。

「(元監督の)落合(博満)さんも(立浪)監督の適性には疑問符を付けていた。慎也も見抜いていたからこそヘッドを受けなかったのではないか」

 井上氏を巡っては、他にも中日復帰の1年延期、逆に中日ヘッドへの強行就任の可能性も取り沙汰されている。いずれにしても、ヘッドコーチの人選の帰趨で来季の「立浪中日」の方向性を占うことができそうだ。

デイリー新潮編集部

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