年末までに円高になる可能性 その根拠は

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「為替市場において必要な対応をとる準備がある」

 神田財務官は9月8日、財務省、金融庁、日本銀行による3者協議後、記者団に対し、このように明言した。9月に入り、円安が加速していることを踏まえての発言だ。

 昨年末に1ドル=115円台だった為替レートは、7日に144円台に急落した。他の主要通貨も売られているが、円の下落ぶりは突出している。

 米連邦準備制度理事会(FRB)が引き締め姿勢を強め、他の中央銀行もこぞって引き締めに動く状況下で、日本銀行だけが大規模緩和を続けており、金利差の拡大が意識され、円は売られやすい通貨となっている。ロシアのウクライナ侵攻などに起因するエネルギー価格の高騰で日本の貿易収支が悪化していることも、円売りが止まらない一因だ。

 鈴木財務相も「必要な措置を講ずる」との発言を繰り返し、市場への介入を示唆しているが、米国などが協調介入を行わない限り、効果は限定的だろう。インフレ抑止に躍起になっている米国がドル売りを容認するとは考えにくい。

 口先介入はもはや無意味であり。市場関係者の間で「政府は打つ手がない」との認識が広がっている。

 市場は円安の目先の節目として、1998年の1ドル=147円66銭を意識しており、次の節目として1990年の160円20銭も視野に入っている。

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