元ヤンのキック王者・武居由樹 ボクシング転身で那須川より先に「W王者」なるか?

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 先頃、42戦無敗でキックボクシングからプロボクシングへの転身を表明した那須川天心(24)。彼のことは知っていても、一足先に同じ道を歩む武居由樹(26)を知る人は少ないだろう。

 だが、武居が世間の目に触れたのは意外に古い。

「初めてテレビに出たのは2011年。フジテレビのドキュメンタリー『ザ・ノンフィクション』でした」

 とスポーツライターが説明する。

「悪ガキ ガチンコ物語」と題されたそれは、東京都足立区の悪ガキ中学生・ヨシキに密着するという内容。

「母子家庭で育ち、盗み癖のあるヨシキが手に負えなくなった母は、格闘技ジムの会長にヨシキを引き取ってもらいます。そこでヨシキは更生。17年に放送された回では、プロになったヨシキがキックの大会に出場してベルトを獲得するまでを追っています」

 父子鷹で知られる那須川と対照的な生い立ちである。

早くも“世界”が

 後に武居はK-1で世界王者に輝いたが、コロナ下の20年12月にプロボクシングへの転向を表明した。

「本人いわく“蹴るのが難しいような感じのけがをした”ためだとか」

 井上尚弥(29)らを擁する大橋ジムに所属。デビューから3戦目まで1回KO、4戦目は2回KOと圧勝を重ね、8月26日に行われたOPBF東洋太平洋スーパーバンタム級タイトルマッチでは5回KO勝ち。5戦目での同タイトル獲得は、井上に比肩するペースだ。

 早くも“世界”が見えてきた。井上は当時日本最速の6戦目で成し得たが、

「いまスーパーバンタム級の世界王者は2人いて、ともに2団体統一している強豪。しかも技巧派で、長いラウンドが未経験の武居にはリスキーな相手なんです。それより、同門の尚弥が12月にバンタム級4団体統一を果たしてスーパーバンタム級に階級を上げる。その際に返上するバンタム級のベルトを狙う方が確実。それこそ尚弥の統一戦の前座で長ラウンドを経験し、7戦目でバンタム級王座決定戦というのが理想です」

那須川より先に“W王者”に?

 世界王者となれば、初の“キックとボクシングでのW王者”となる。那須川も目指しているはずだが、どうも武居が先着しそうだ。

「ただ、マッチメイクに定評のある帝拳ジムに所属する予定の天心は、世界最速タイとなるプロ3戦目での世界王座獲得が期待されています。適正階級はスーパーバンタム級ですが、その頃には尚弥が上がってくるので、世界戦は空位だらけのバンタム級が狙い目です。いずれこの二人の対戦が見られるかもしれませんよ」

 なお、二人はジュニア時代の12年に対戦し、結果は引分けに終わっている。

週刊新潮 2022年9月8日号掲載

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