179人が関係と言われても残るモヤモヤ……自民党が統一教会問題を絶対解決できない核心部分

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岸元首相の責任問題

 統一教会との深い関係が問題視された自民党議員に、参議院議員の北村経夫氏(67)と井上義行氏(59)がいる。

 北村氏に関しては、ジャーナリストの鈴木エイト氏が週刊新潮(8月4日号)で、《「初当選時、当時首相だった安倍氏が北村氏の選挙応援を教団に依頼しているのです」》と指摘している。

 井上氏の場合は、安倍氏が2000年代に内閣官房副長官や官房長官、首相を務めた際、いずれも秘書官に任命された。そして井上氏は、統一教会の賛同会員だったことが明らかになっている。

 参議院議員の生稲晃子氏(54)も安倍派に所属。やはり安倍派の萩生田光一政調会長(59)も統一教会との関係が深く、先の参院選の直前、2人が教団施設を訪れたことは大きく報じられた。ベテランの政治担当記者が言う。

「こうした“相関図”から、安倍さんが参院選で統一教会の組織票を差配する立場にあったのではないかとの疑問が出て当然でしょう。その背景には、祖父である岸信介元首相(1896〜1987)と統一教会の関係があります」

 なぜ自民党と統一教会がこれほど癒着するようになったのか、今でも解明されていない部分は少なくない。

応援するネット右翼

「本気で自民党が調査するなら、歴史的なアプローチも必須です。つまり、安倍さんや岸さんも調査対象にする必要があるのです。『なぜ統一教会と癒着してしまったのか、原点に遡って調査し、発表します』という“ゴール”を設定すれば、有権者も『自民党は本気だ』と見直すかもしれません。しかし、そうした気運も、今の自民党には乏しいようです」(同・ベテラン記者)

 一方、統一教会と自民党の“癒着”を問題視する報道は、全く終わる気配がないという。特に一部の民放キー局は、徹底報道の方針を考えている。テレビ局の記者が言う。

「まず、視聴者が報道を支持してくれています。次に公安調査庁や警察といった公安部門の関係者が、かなりの情報をリークしてくれているのです。彼らは統一教会について『確かに反共団体かもしれないが、日本という国家に対して愛国的な団体ではない』と、なかなか興味深い表現をします」

 これまで民放キー局は、安倍氏に関する報道の際、“ネット右翼”の抗議に神経を尖らせてきたという。だが今回は、そうした気配は全くないという。

「理由は簡単で、ネット右翼も統一教会に怒っているからです。教団が日本を食い物にしてきたのは間違いありません。そして統一教会の問題を報じる際には、安倍さんの問題にも触れざるを得ないのです。そうした内容の番組を実際にオンエアしても、ネット右翼からの抗議は全く来ていませんね」(同・テレビ局の記者)

ドツボの岸田首相

 統一教会の宗教法人の取り消し、安倍元首相や岸元首相に対する調査、関係の深い国会議員の処分──有権者は様々な“ゴール”をイメージしている。ところが自民党は、これ以上の進展を望んでいない。今が“ゴール”なのだ。

 こうして自民党は、八方塞がりの状況に置かれている。だが、それを認めたくない。有権者を気にして対策を打ち出そうとするが、どうしても甘いものになる。結局、後手後手のイメージだけが強まっていく……。

「まさに自民党にとっては悪夢のような展開でしょう。ドツボにハマっていると言えます。岸田内閣は当初から高い支持率でした。しかしそれは、岸田首相がこれまで何もしてこなかったからです。統一教会の問題は根が深く、岸田首相は有効な対策を打ち出せていない。統一教会との癒着問題を解決するどころか、支持率を回復させる糸口すら見えないというのが実情だと思います」(前出のベテラン記者)

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