三冠王確実の村上宗隆 もし野村克也さんがキャッチャーならどんな手を使って抑え込むか

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ギャンブルと勝負勘

「セオリーやデータを重視することは大切ですが、村上くんほどの打者と対戦する場合、逆効果になる可能性があります。そもそも『ボール球を振らせる』こと自体が正攻法ではありません。バッテリーは、セオリーやデータ分析からは得られない、独創的な“対村上戦略”を編み出す必要があります。このために最も必要とされるのは“勝負勘”でしょう」(同・広澤氏)

 広澤氏は、脳科学者の中野信子氏と話をする機会があり、「アスリートに必要な勝負勘を養うにはどうしたらいいのか?」と質問したことがあるという。

「中野さんの答えは、『ギャンブルの経験が最も勝負勘を養います』というものでした。それを聞いて、現代の感覚では賛否両論あるでしょうが、昭和のプロ野球選手は大半がギャンブルを楽しんでいたことを思い出しました」(同・広澤氏)

 通算146勝を記録し名監督としても知られた星野仙一(1947~2018)は、楽天を率いていた2012年、「今の若い選手はもっと麻雀をして勝負勘を養わなきゃいかん」と発言して大きく報じられた。

 日本プロ野球史上唯一の400勝投手、金田正一(1933~2019)も麻雀を楽しんだ。通算251勝の東尾修氏に至っては、1987年、麻雀賭博に関与したとして警察から事情聴取を受けている。

夢の「野村克也vs.村上宗隆」

 球史に残る捕手であり、監督としても名将と謳われた野村克也(1935~2020)も麻雀を打った。他チームの選手と卓を囲んだ時は、相手の性格を分析して記憶。対戦時に活用したという、いかにもなエピソードも残っている。

 用兵や戦術、戦略という観点では、ハワイ奇襲作戦を成功させた連合艦隊司令長官の山本五十六(1884~1943)もギャンブルを愛したことは興味深い。

「山本はカードゲームのポーカーやコントラクトブリッジの名手でした。部下にも将棋やギャンブルからは様々なことが学べるとアドバイスしています。飛行機で戦艦を撃沈するという戦史を塗りかえた軍人は、勝負事が巧みでした。アスリートが勝負勘を養うにはギャンブル経験が必要という説を裏付けていそうです」(前出の記者)

 広澤氏は「もし野村さんが現役のキャッチャーで、村上くんと対戦することになったら、どんな戦略で臨むのだろう」と想像することがあるという。

「一つだけ言えるのは、『絶対にマスコミを利用しただろう』ということです。番記者の前で、村上くんの悪口をコテンパンに言う。スポーツ紙は喜んで大きく報じ、ネットも大荒れになるでしょう。そういう状況の中、村上くんは野村さんが後ろに座るバッターボックスに立つ。平常心を保つのは難しいはずで、試合前から野村さんは“対村上戦略”をスタートさせたと思います」

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