《留置場で首吊り自殺》 直前に“無罪請負人”弁護士を雇っていた28歳「養子」 残された高槻「保険金殺人」事件の謎

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 9月1日朝、勾留先の留置場で首を吊っているのが見つかり、緊急搬送された高井凛容疑者(28)の死亡が同日午後10時21分に確認された。所持していたTシャツの裾を裂き、ひも状にした上で、留置場内の高さ約2メートルにある窓の金網に掛けて自殺を図ったという。取り調べ中には「逃走」をほのめかし、直前には敏腕弁護士も雇っていた凛容疑者。真相解明は遠のき、事件も不起訴となる見通しだ。

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 事件が起きたのは昨年7月。大阪府高槻市に住む高井直子さん(当時54)が自宅の浴槽で死亡しているのを親族が発見したことに始まる。高井さんの右手首には結束バンドが巻かれ、死因は溺死だった。

 高井さんは一緒に暮らしていた母親が数年前に老人ホームに入居して以降、自宅の一軒家にひとりで暮らしていた。亡くなる5か月前の昨年2月、高井さんと養子縁組し、その後、高井さんに掛けられた1億5000万円の生命保険の受取人になっていたのが凛容疑者である。

「7月に養子縁組届を偽造した疑いで逮捕された当初こそ、否認する姿勢を見せていた凛容疑者ですが、その後はすべての容疑の認否について黙秘を続けています。自供を得られる見込みはないなか、大阪府警は状況証拠を積み重ねていく手法で、8月25日に“本丸”の殺人容疑などで再逮捕。勾留明けの9月中旬にも起訴する方針です」(在阪テレビ局府警担当記者)

 これまでの捜査によって、事件に至るまでの凛容疑者の足取りなどが徐々に明らかになっているが、そこから浮かび上がるのは犯行の「周到な計画性」という。

「100円ショップ」で結束バンドを購入

 関西の有名大学でアメフト部に所属し、卒業後は大手コンサルテイング会社を経て外資系保険会社を渡り歩いた凛容疑者。事件当時は東京・赤坂の高級タワーマンションに住み、SNS上で自慢の黒のランボルギーニとともにポーズを決めるなど“リア充”ぶりをアピールしていた。

 事件当日の昨年7月22日、凛容疑者と見られる人物が長髪のウィッグをかぶり、女性用の上着やズボンなどを身に着けて自宅のタワマンから出る姿が防犯カメラに収められていた。

「その足で港区内のドン・キホーテに立ち寄り、バッグなどを購入。変装のための女装道具を隠す目的だったと見られている。さらに近くの“100円ショップ”に立ち寄り、遺体の手首に残されていたものと酷似した結束バンドを買ったことが店舗の購入履歴などから分かっている」(大阪府警関係者)

 その後、新幹線などを乗り継ぎ、JR高槻駅に到着。「盗んだ自転車」(同)で高井さん宅方面に向かったとされる。

 現場近くの防犯カメラには、粘着テープや刃物のようなものを持って何度も高井さん宅周辺を往き来する凛容疑者と見られる人物が映っており、分析の結果、「犯行時間は夕方4時から6時の間」(同)に絞られているという。

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