あびる優で注目される「連れ去り」は家族法制見直しでなくなるか 「共同親権導入」を訴える自民党議員に聞いた

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「子供を連れ去られた」「DVを受けていた」。週刊誌の“代理戦争”にまで発展したタレント・あびる優と元夫との親権争い。双方に言い分があるようだが、忘れてはならないのは父母の争いで片方の親との仲を引き裂かれてしまう子供である。日本でこのような夫婦間トラブルが多発する“元凶”と言われているのが離婚後の「単独親権制度」だ。いま親権制度の見直しが、法制審議会(法相の諮問機関)の家族法制部会で審議されている。自民党内でも法務部会の中にプロジェクトチーム(PT)が発足し議論が活発化。「共同親権・共同監護は譲れない」と語る自民党議員二人に話を聞いた。

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子供の利益を最優先に考えるべき

「『共同親権よりもまず養育費だ』という声も確かにあります。この問題について調べてみると、10人いれば10人それぞれのケースがあって話がまとまりにくいのです。だからこそ、私たちは原理原則論で行くべきだというスタンスで、『共同親権・共同監護』で民法改正を進めるべきという提言書をまとめたところです。法律は家族を幸せにするためのものであり、家族を引き裂いてはいけない。子供の利益を最優先に考えるべきだという考えが根底にあります」

 こう語るのは、前自民党法務部会長の山田美樹衆議院議員だ。

 日本の民法では、離婚した場合はどちらか一方かが親権を持つ「単独親権制度」が採られている。あびるのケースでも離婚後に一度、親権が元夫側に渡ったものの、あびるが親権者変更を申し立てる争いに発展した。そもそも離婚後も共同で親権を持つ制度であれば、このような争いが起きづらくなるという考え方が増え始めてきているのだ。

 自身も離婚経験がある谷川とむ衆議院議員もこう訴える。

「日本では協議離婚が約9割です。つまり、口約束で子供の養育方針が決められてしまっている。だから、事後的に養育費が支払われないなどの問題が出てきてしまうのです。あらかじめ離婚後も『共同親権・共同監護』と決めたうえで、離婚時に『共同養育計画』を作成し、養育費は月々いくら、親子交流を月2回などと申し合わせる仕組みを作るべき。我々の案では『離婚後養育講座』を受講することも盛り込んであります」

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