「大阪桐蔭」まさかの敗退でも、ドラフト指名が期待される選手は…スカウト陣はエースに「球威不足」と厳しい評価も

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スカウト陣が注目する「3人」

 3度目の甲子園春夏連覇を目指していた大阪桐蔭がまさかの敗退だ。8月18日に行われた夏の甲子園、準々決勝で下関国際に5-4で逆転負けを喫した。今年のチームは西谷浩一監督と主将・星子天真がたびたび「飛び抜けた選手はいない」と話していたように、2012年の藤浪晋太郎(現・阪神)、森友哉(現・西武、当時2年)、2018年の藤原恭大(現・ロッテ)、根尾昂(現・中日)といったドラフト1位指名が確実と言われる目玉選手は不在だが、それでも高い能力を持った選手は多く、10月のドラフト会議で、大阪桐蔭の有望選手がどれだけ指名されるか、注目される。【西尾典文/野球ライター】

 関係者の話を総合すると、プロ志望届を提出すると見られている選手は、エース・川原嗣貴、キャッチャー・松尾汐恩、センター・海老根優大という3人だ。なかでも、松尾はスカウト陣の評価が高いようだ。

松尾は、旧チームからの唯一のレギュラーで、昨年の夏の甲子園、秋の明治神宮大会、今年春の選抜と、全国の大舞台で全てホームランを放ち、「強打の捕手」として注目を集めている。今年の夏の甲子園、1回戦の旭川大高戦で、反撃の狼煙となるタイムリーを放つなど、3安打2打点という活躍を見せた。1回戦終了後に複数のスカウトに取材すると、軒並み高い評価だった。

「高校から本格的にキャッチャーになったということもあって、去年まではまだ地に足がついていない印象でしたが、春から夏にかけてキャッチャーらしくなりましたね。もともと地肩の強さには素晴らしいものがありましたが、あれだけ捕ってから早く、強いボールを投げられるのは魅力です。また、足が速くて、走塁に対する意識も高い。なおかつ、あれだけ打てるとなれば、当然、プロ側の評価は高くあります。ドラフト会議の巡り合わせ次第ですが、ドラフト1位で消える可能性は高いと思います」(セ・リーグ球団スカウト)

先輩・森友哉に続くか

 筆者は、夏の甲子園の現地取材で、各捕手の「セカンド送球タイム」を独自に計測している。一般的には、このタイムで2.00秒を切れば、“強肩”とされるが、旭川大高戦で松尾が出したタイムをみると、1.77秒が2度もあった。この数字は、プロ選手でもなかなか出せないものだ。

「松尾はキャプテンではありませんが、リーダーシップがあります。ベンチにいる時もよく声が出ていますし、良い意味で“血気盛んな感じ”がします。少しやんちゃそうなイメージは(西武で活躍する先輩の)森友哉とも重なります。タイムをとってマウンドに向かうタイミングもいいですよね。キャッチャーはコミュニケーションが大事ですし、こうした点も評価できると思います」(関西地区担当スカウト)

 大阪桐蔭の捕手で1位指名となれば、前出の森以来2人目となる。松尾にはその資格が十分にあるといえるだろう。

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