統一教会だけではない「宗教2世」問題 エホバの証人、幸福の科学、創価学会の場合は

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 安倍晋三元首相の殺害事件で逮捕された山上徹也容疑者は、自身の母親が信者である統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に深い恨みを抱いていた。そして彼のような、いわゆる「宗教2世」に注目が集まっている。以前から当事者や支援者、研究者の間で議論されてきた、統一教会以外の宗教団体も含めた「2世問題」とは何なのか、改めて整理したい。

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統一教会の2世問題

 統一教会の田中富広会長は、7月11日の記者会見で、山上容疑者の母親が信者であることを認めたが、山上容疑者については「会員」ではなかったとしている。一方、後日行われた統一教会の礼拝では、山上容疑者が2、3度、施設に赴いて教えに触れたことがあると説明した。

 実際、宗教2世は、正式な信者になるか否かは関係なく、親の信仰の影響を受ける。統一教会2世のA子さんは、こう語る。

「子供は親がいなければ生きていけません。親から信仰を求められれば、逆らうことなどできないのです。それに私は、親に幸せになって欲しいという思いもあったので従いました。私と違い、親の求めに逆らって早くに家を出たきょうだいもいました。入信しなくても、やはり人生は大きく影響を受けます」

 Aさんは合同結婚式で結婚し、子供もできた。しかし、夫のDVや借金のために離婚。統一教会の信仰も捨てた。生活保護の受給期間を経て、いまは仕事に就いている。

「私の母は、私の子供(母親から見て孫)に信仰を持たせようとしてきました。子供を守るために、親と縁を切らざるを得ませんでした」(Aさん)

 統一教会では、合同結婚式で「祝福」を受けた夫婦の間に生まれた子供には「原罪」がないとされる。また「教えに反して罪を犯せば、代々の子孫までもが地獄で苦しみ続けたり自分や家族が不幸に見舞われたりする」かのような教えで、信者に不安や恐怖と表裏一体の「熱心な信仰」を煽る。追い込まれた親たちが、献金だけではなく子供や孫など、立場が弱くコントロールしやすい相手を巻き込むのだ。

かねてより問題視されてきたテーマ

 宗教2世問題は統一教会に限らない。以前からエホバの証人(ものみの塔聖書冊子協会)における虐待も問題視されてきた。

 輸血の拒否、学校教育での剣道や柔道といった武道の授業の受講拒否、運動会の騎馬戦など「戦い」に関わるものへの参加禁止。クリスマスその他の行事への参加や、国家・校歌を歌うことも禁じられる。言いつけを守らない場合は親からムチで打たれる。

 かつては大学などの高等教育への進学も禁じられていた。高卒で信者が経営する企業に就職し、労働は週3日で残りは伝道活動、といった生活スタイルに入る2世もいる。自由な恋愛もできない。

 教えに反した行動や言動をとると、場合によっては未成年でも「排斥」等の処分がある。排斥になると、親でも接触を拒む。親子関係が断絶させられてしまうのだ。

 排斥されたにせよ、自ら信仰を捨てたにせよ、教団を離れれば社会経験が乏しい大人として一般社会に出ることになる。

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