岸信介と統一教会を仲介したのは謎の「踊る女性教祖」? 警視庁公安部が捜査していた政治家の実名も

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 なぜ統一教会の「政界汚染」が問題視されるのか。教団が社会問題を引き起こすカルト宗教だからである。それを裏付けるのが、警視庁公安部による「捜査ファイル」の存在。長い監視の末、蓄積されたリストには膨大な信者の情報とともに、政治家の実名も記されていた。

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 手元に一つの資料がある。「C」と名付けられたその膨大な量の書類には約2万6千人に及ぶ統一教会関係者の名前がずらっと並び、職歴や勤務先、教団内での地位などが細かく記載されている。

「これは警視庁公安部公安総務課のカルト担当の情報を元に作成された機密資料です」

 と、明かすのは警察庁関係者である。CはChurch(教会)の意味で統一教会を指す警察内の隠語。このリストに記されている全員が信者というわけではないが、教団や関連団体での活動歴のある人物ばかりなのだ。

 なぜ、警視庁公安部は統一教会やその信者を監視し、膨大なリストを作成してきたのか。

「それは統一教会が、法治国家を脅かすカルト宗教だと見られているからです」(同)

 巷間、報じられているように統一教会が政治と癒着してきたのは、当局による捜査の手を逃れるためだったのか――。

「もしかしたらお会いしているかもしれません」

 そのリストの詳細に分け入る前に、政界と教団を結び付けた原点を詳らかにするため、時計の針を少し巻き戻す。

 舞台は東京・渋谷。

 若者の街として知られる渋谷は文字通り、谷と尾根が複雑に交差する坂の町である。その渋谷駅から緩やかな道玄坂を登っていき、尾根筋である旧山手通りの手前を左に折れると「南平台」という地区に出る。

 地名は明治期につけられた新しいもので、近くには南平坂という坂もある。起伏と緑に富んだその地は、かねて政財界の大物が居を構え、都内でも有数の高級住宅街として知られてきた。

「南平台に住んでいたのは小学校低学年の頃なので、もしかしたら(統一教会の方と)お会いしているかもしれません」

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