日本人の「不安遺伝子」は世界一 『スマホ脳』著者が明かす、うつを防ぐ最も効果的な方法

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 日本人には世界で最も「不安遺伝子」なるものが多いそうだ。うつ病・うつ状態の人が100万を超えて久しい日本だが、その数はコロナ禍で倍増したという国際調査の数字もある。今だから必要な対処法を、あの世界的ベストセラーの著者が詳しく解説してくれる。

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「そもそも新型コロナウイルスのパンデミック前から、たとえば私の国、スウェーデンでは成人の8人に1人が抗うつ剤を処方されています。世界的には2億8千万人がうつと診断され、2億8400万人が不安障害に苦しんでいました。現代人のメンタルは史上最悪である。そう考える人がいてもおかしくない状態でした。ところがコロナ禍以降、患者の数はさらに増えている。原因はさまざまに考えられます」

 そう語るのは、著書『スマホ脳』(新潮新書)が世界的なベストセラーとなり、日本では2021年に最も売れた本にもなったスウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセン氏(48)その人である。

 今般、「なぜ人は不安から逃れられないのか?」という問いから書き起こした新著『ストレス脳』(同)が日本でも発売されるのに合わせ、コロナ禍を経た人々とうつとの関係について語ってもらった。

不安遺伝子の保有割合が世界一

 日々、こう感じている人は多いのではなかろうか。何かに追われている気がする、どこか不安だ――。

 仕事でも家庭でも気がかりだらけ。ひとつのことにカタがついても次が控え、何かしら積み残しのまま翌日を迎える。睡眠時間は削るもの、ストレスなんてあって当たり前……。

 ある研究によると「不安遺伝子」を保有する割合が世界で最も高いのはわれら日本人なのだという。

 精神を安定させ、ストレスに抵抗する働きをする脳内物質セロトニン。「不安遺伝子」を多く有する人は、これを少量しか産生できなくなってしまう。

 不安を感じやすい性質を持つ人が多いせいなのかは定かでないが、日本でうつ病・うつ状態にある人は2008年に100万人を超えた。これは、人口割合で比較すると米国の3倍以上になるという調査結果もある。厚労省によると、生涯でうつ病を経験する日本人はおよそ100人に6人にも達するという。

 しかもOECD(経済協力開発機構)のメンタルヘルスに関する国際調査では、コロナ禍以降、精神疾患に陥ったり、精神的な不調を訴えたりする人が世界的に激増しており、日本でもうつ病・うつ状態の人の割合は2倍以上に増えていると見られるそうだ。

――パンデミックを経て、うつ病や不安障害などを患うケースが世界で急増しているとは一体、どうした理由によるのだろうか。

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