統一教会は信者獲得のためではなかった……宗教団体がわざわざ政治に接近する理由

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 安倍晋三元首相の暗殺をきっかけに、多数の国会議員が選挙の際には統一教会(現・世界平和統一家庭連合)から協力を得ていたことが発覚した。国会議員は、票になりさえすれば宗教団体だろうと何でも利用するのはよく知られたことではある。一方、宗教団体は何のために政治に近づいて行くのか。宗教専門誌「宗教問題」の小川寛大編集長に聞いた。

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小川:まず、戦後の宗教と政治について、大まかな話からしましょう。1964年、創価学会は自らを支持母体とする宗教政党・公明党を結党し、翌年の参議院選挙では早くも当選者を出しました。創価学会が宗教政党を作ったのは、今は公式に撤回したことになっていますが、創価学会を全国民に布教して、国立のお寺のようなものを作らせるのが目的でした。

――いわゆる広宣流布・国立戒壇というやつだ。

小川:そこまで言い切ったのは創価学会ぐらいでしたから、生長の家や立正佼成会といった新宗教団体が危機意識を持ったのです。そのためアンチ創価学会としての結びつきを強め、彼らも政界に進出していったという構図がありました。とはいえ、1970年代に創価学会は大バッシングを受けて、当時の池田大作会長が当初の目的を撤回しました。

――では、統一教会はどうなのか。

小川:最近の報道でご存知の方も少なくないと思いますが、元々、統一教会は韓国で生まれた宗教です。創始者で教祖の文鮮明は軍事政権の朴正煕大統領の軍事政権の下、反共産主義思想を展開して庇護されました。純粋に宗教の魅力で信者を増やすと言うよりも、政治家と一緒になって影響力を拡大させようというのは日本に来る前から行われていたわけです。

――教祖というよりも反共の活動家のようだ。

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