今からでも遅くない夏ドラマ3選 ナゾだらけの日テレ「初恋の悪魔」はいよいよ本調子に

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TBS「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」(金曜午後10時)

 主人公は司法試験に4回落ちた東大卒のパラリーガル・石田硝子(有村架純)と高卒弁護士の羽根岡佳男(中村倫也)。コメディ色の強いリーガルドラマである。

 羽根岡は書類など見たモノを写真のように記憶できるフォトグラフィックメモリーの持ち主である。この能力がストーリーのポイントとなっている。

 例えば著作権法違反がテーマになった第3話では動画サイトにアップされた「ファスト動画」(映画を短く編集したもの)が、実際の映画とは違うことを見抜いた。映画の全ての場面を記憶していたからだ。

 そんな能力がありながら、羽根岡はコンプレックスが強い。家族が司法界のエリートでありながら自分は弁護士としての実務能力が低いためだ。まわりからどう見られているかを常に気にしている。軽い。面白いキャラクターである。

 有村演じる“石子”もコンプレックスを抱いている。コツコツと真面目にやっているが、司法試験に一向に受からないからである。こちらも良いキャラだ。

 2人は過去の多くのリーガルドラマとは違い、依頼人の法的な勝利を最大の目的としていない。トラブルの穏便な解決も模索する。こういったリーガルドラマもいい。相手側との対決色が過剰でないから肩が凝らない。

TBS「ユニコーンに乗って」(火曜午後10時)

 主演の永野芽郁と準主演の西島秀俊が抜群にいい。

 永野は巨匠・山田洋次監督(90)に認められ、松竹1周年記念作品「キネマの神様」(2021年)のヒロインに起用された。秋には2本の主演映画が公開される。「マイ・ブロークン・マリコ」と「母性」だ。その実力はドラマでも発揮されている。セリフや表情、仕草が自然であるのはもちろん、存在感が強い。

 西島の売れっ子ぶりとうまさは今さらクドクドと説明するまでもないだろう。そのうえ、観ている側を好きにさせてしまう不思議な力を持っている。

 教育アプリ開発会社を起業した成川佐奈(永野)の成長記。若者ばかりのこの会社に中途入社した元銀行員・小鳥智志(西島)が、新入社員ながらCEOの佐奈を懸命に支える。2人ともハマり役だ。

 観た後に不快感が残るドラマもあるが、この作品は違う。清涼感をおぼえる。永野と西島のキャラが大きい。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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