逮捕間近! 五輪利権のキーパーソン「高橋治之」 それでも特捜部に上がる「国策捜査」の声

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 東京地検特捜部による「東京五輪疑惑」の捜査が大詰めを迎えつつある。4日連続で関連先の捜索を大々的に行い、関係者らの聴取にも着手。いよいよ「Xデーは近い」と囁かれる裏側で、“特捜の狙いは何?”と訝しむ声が取材する大手メディアの記者たちから漏れている。

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 疑惑の構図は、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之・元理事が、大会スポンサーだった紳士服大手「AOKIホールディングス」側から“便宜を図った”見返りに約4500万円を受け取ったというもの。

 7月26日以降、特捜部は受託収賄容疑で高橋氏の自宅や五輪組織委(現在は清算法人に移行)、AOKI前会長の自宅などを捜索するとともに、高橋氏らへの聴取も行ってきた。

「AOKIは東京五輪・パラ大会でスポンサー企業のひとつである『オフィシャルサポーター』に選定され、五輪エンブレム入りのスーツなど公式ライセンス商品を約3万着売り上げた。AOKIと組織委のスポンサーやライセンス契約に際し、高橋氏が働きかけを行うなどし、その対価として資金提供がなされたと特捜部は睨んでいます」(大手紙司法記者)

 組織委の理事は「みなし公務員」であり、職務に関連して金品を受け取れば、刑法の収賄罪に抵触する。これが容疑の根拠となっているが、高橋氏は特捜部の聴取に対して「不正への関与」を全面否定。

 今回の“五輪疑惑”が一筋縄で行かないことを物語っている。

賄賂とされた4500万円のコンサル料

“スポーツビジネス界のドン”と呼ばれる高橋氏は大手広告代理店「電通」の元専務で、2011年に同社顧問を退任後、14年6月から組織委理事に就任した。

 電通は組織委からスポンサー募集を担うマーケティング専任代理店に選ばれ、同社社員は組織委に多数出向していた。そのため電通本社も特捜部の捜索を受けている。

 一方、高橋氏が代表を務めるコンサルタント会社は17年9月にAOKI創業家の資産管理会社とコンサル契約を締結。21年の大会閉幕までの間にコンサルタント料として月100万円、総計4500万円余りを受領したとされる。

「このコンサル料が“賄賂”に当たると見られているが、コンサル契約そのものに実態はあったようで、さらに高橋氏の個人の口座に入ったお金でもない。またAOKI側が依頼の見返りとして提供した賄賂とは“いつの時点のコンサル料が該当するのか?”など、要所要所で違法行為の認定に際して詰めるべき点が残ります」(同)

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