安倍後継問題 “ゴッドマザー”が「安倍家断絶」を受け入れる可能性はあるのか 地元の複雑すぎる事情

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誰が比例に弾き飛ばされるのか

 実は山口の政界には、安倍世襲をよしとしない動きもある。このまま後継を出さず、“安倍家断絶”ですべてが丸く収まる、という声も少なからずあるのだ。

「10増10減の区割り変更で、次期衆院選から山口県の選挙区が4から3に減ります。安倍さんが生きている間も、自民党所属の4人の選挙区選出議員のうち1人が比例区に締め出されなければならない問題を抱えていました」(同)

 整理しておくと、現在の山口選挙区は下記の通りである。

1区:高村正大・財務政務官(高村正彦・元法相の長男)
2区:岸信夫・防衛相
3区:林芳正・外相
4区:安倍晋三・元首相

 安倍氏が存命の頃は、林氏が新1区に回ると言われていた。新1区に林氏、新2区に岸信夫氏の跡を継いだ岸信千世氏、新3区に安倍氏。一区の高村氏は当選2回とキャリアが浅く父親の影響力も弱いことなどから比例単独に弾き飛ばされる、もしくは、高村氏と信千世氏でコスタリカ方式(選挙毎に選挙区と比例区を入れ替える方法)を取るというシナリオが立てられていた。

山口県の3分の2を支配するのはおかしい

 だが、安倍氏が亡くなったいま、もし後継を出さないとなれば、新1区に高村氏、新2区に岸信千世氏、新3区に林氏で「丸く収まる」というのである。

「新3区には、林氏が小学校から高校までを過ごした地元・下関があります。林氏としては、安倍さん存命のうちは諦めざるを得なかったのですが、本当は新3区が欲しいところ。安倍家と林家は、親の代から中選挙区で票を奪い合ってきた因縁もある。高村氏にしても、現職なのになぜ新人の信千世氏に選挙区を奪われなければならないんだという不満もある」(前出・県連関係者)

 そもそも「山口県の3分の2を、岸・安倍家が支配するのはおかしい」という声も水面下で出始めている。

「岸信夫さんの次男が安倍さんの後継になったとしたら、兄弟で山口の3分の2を支配することになる。いくらなんでもやりすぎだろうと。後継を出さない場合、補欠選挙にはワンポイントリリーフとして県連関係者などを出すことになります」(同)

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