「酸素ボンベを使うことも」 “ハードすぎる幽霊役”を演じる若村麻由美が語る「頭痛肩こり樋口一葉」の見どころ

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「最後の出演になるかもしれない」

 本作はこまつ座の演目の中でも人気の一作で、初演当時から数年おきに上演されてきた。若村が花螢役を受け継いだのは平成25年で、前任は新橋耐子(78)だった。以来、平成28年の公演に続き、今回は6年ぶりの3度目となる。

「花螢は幽霊なのにお人好しで、すぐ早合点をしてしまう愛すべきキャラ。これまで演じた役の中でも、一、二を争う好きな役ですね」

 台本には、井上ひさしが残した名セリフも。

「膨大な資料を元にした井上作品ですが、一葉の日記を見つけたことをきっかけに幽霊花螢を誕生させ、わずか2週間で書き上げた傑作。井上さんが紡いだ言葉を発することは、役者として喜びです」

 しかも、と続けて、

「私が演じるのは、恋しい人が亡くなった原因をたどり、恨みを晴らして成仏したいと願う花螢。人を恨んで恨みの連鎖をたどった末に“恨み探しは諦めましたよ”と夏子に伝えるシーンがある。それをいかに説得力を持って言えるかが、いまの私の最大のテーマです」

 一座は東京公演の後、大阪と岡山等に向かう予定だ。

「親しい友人たちには“これが私の最後の出演になるかもしれない。だから、ぜひ見に来てね”って伝えているんですよ」

週刊新潮 2022年7月21日号掲載

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