「オレ流」がファンに異例の“神対応” 阪神監督「待望論」で落合博満の虎視眈々

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「監督要請? 話は聞きます」

 その5日前、NHKのサンデースポーツに出演した際には視聴者から「監督要請が来たらどうしますか?」との質問を受けた。落合氏は苦笑しながらも「話は聞きます。むげに断るというのは失礼」と再登板に含みを持たせた。さらに「可能性はゼロではない。やるとなったらそれなりの準備はしますけどね」と語り、スタジオの共演者をどよめかせた。

 そこで真っ先に連想される球団が阪神である。シーズン前から今季限りでの矢野監督の退任が決まっており、かねて落合氏招聘の可能性も取り沙汰されてきた。

「(6月の)阪急阪神ホールディングスの株主総会で、谷本オーナー代行は株主から次期監督を聞かれた時に、“ドラフト上位の生え抜きで固める”という球団の編成方針を継承する人物あることをにおわせた。そうなると、外部招聘の選択肢はなくなる。(同ホールディングスの)角会長と同じ早大出で、ゴルフ会食が報じられた岡田元監督や、内部昇格となる平田2軍監督、谷本オーナー代行と懇意で、スペシャル・アシスタントとして球団に籍を置く藤川の抜てきもあり得る」(番記者)

 いずれにしても阪神OBの線が濃いとの見立てが支配的になっている。

来オフ以降にも備えた悪評の払拭

 しかし、阪神は過去にも急転直下でヤクルトの野村監督を招聘したり、中日監督を退任したばかりの星野氏を抜てきしたりした球団だ。

「落合さんの可能性はゼロではない。仮にチームが後半戦で、開幕直後のように負けが込めば“勝てる監督”待望論は再燃する。ヤクルトが独走するセは“1強5弱”で、阪神が突出して弱いわけではないが、2005年を最後に優勝から遠ざかっていることも事実。角会長らが谷本オーナー代行主導で策定するとみられている(新監督の)球団案を、そのまま承認するかどうかは不透明。野村さん、星野さんのようなサプライズ人事があるかもしれない」(同)

 落合氏は中日監督だった11年、球団から観客動員への貢献度が低いことを理由にシーズン終盤に事実上の解任通告を受けた。「勝つことが最大のファンサービス」との信条を貫き、日本一1度、リーグ優勝は4度と実績を残した一方で、一般的なファンサービスへの理解がないと一部で不評を買っていたことが背景にあった。阪神監督が実現しなかったとしても来オフ以降、低迷球団を中心に監督要請があっても不思議ではないだけに、悪評は払拭しておくに越したことはない。

 冒頭のYouTubeでは、親子ファンから「監督と今の生活、どちらがいいと思いますか?」と聞かれた。「そりゃあ、今の生活の方がいいですよ」と苦笑いで答えた言葉は本心か。

津浦集(つうら・しゅう)
スポーツライター

デイリー新潮編集部

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