「羽生結弦」現役引退で浮上 中国が狙う“氷上王子”コーチ招聘計画の現実味

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 フィギュアスケート男子の羽生結弦(27)が7月19日、「現役を引退してプロ転向」することを記者会見で表明した。冬季五輪2連覇を成し遂げた“氷上の天才貴公子”が競技の一線から退くことに慰労と惜しむ声が絶えないなか、「好機到来」と触手を伸ばし始めた国があるという。かねてから羽生を「指導者」として招聘する野望を持つ、中国である。

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 会見冒頭で「プロのアスリートとしてスケートを続けていくことを決意いたしました」と話した羽生結弦。

 今後は「競技会に出るつもりはない」と明言し、現役引退についても「寂しさは全然ない。(これからは)もっと色んな方法で自分のスケートを見ていただく機会があると思っていますし、作っていきたいと考えている」と晴れやかに語った。

 スポーツ紙記者の話。

「会見では2018年の平昌五輪後に“引退しよう”と思っていたと打ち明け、それでも続けてきた理由のひとつに“4回転半ジャンプ”へのこだわりを挙げました。終始、穏やかな口調で語る羽生選手の姿からは気持ちの整理が完全についている様子が窺えました」

 会見では、オリンピックを「自分の生きている証し」とも表現した羽生。一方で、「引退発表を機に、中国側のフィギュア関係者の動きが慌ただしくなっている」(同)との情報が浮上している。

“氷上に降り立った神”

 中国事情に詳しいシグマ・キャピタル代表取締役兼チーフエコノミストの田代秀敏氏がこう話す。

「これから中国は自国ナショナルチームのコーチや指導者として羽生氏を招聘することに全力を傾けてくると見られています。中国での“羽生人気”は日本国内を遥かに凌ぎ、中国共産党機関紙『人民日報』や国営通信『新華社』などを含む中国メディアは、これまで羽生氏の活躍を膨大な映像をまじえて大々的に報じてきた。また北京五輪時には中国のアナウンサーが自国選手を超える熱量で羽生氏の演技を伝えるなど、国民的ヒーローさながらの“氷上王子”として扱われています」

 申し分ない実力を備えているにもかかわらず、驕り高ぶることのない謙虚な姿勢。そして端麗な容姿などが相まって爆発的な人気を生み出しているという。

「卓球の福原愛さんも大変な人気がありますが、彼女は中国では“卓球の天才”とは認識されていません。その愛らしいキャラクターと完璧な中国語を操る努力家の面などが高い好感度に繋がっているのです。それに比べて、羽生氏は中国人も絶賛するしかない実績を持ち、誇張ではなく“氷上に降臨した神”のような存在になっている」(田代氏)

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