「韓国に現金を運ぶのが日本人女性の使命」 統一教会で人生が変わった23歳の女性元信者の話

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初対面の相手と結婚

 A子さんたちのグループは、出発前にそれぞれ教会から現金50万円入りの封筒を渡されたが、韓国の税関を通った後で全て回収された。韓国への送金手段に使われたのである。この50万円と別にA子さんは10万円を教会から支給されたが、この時、担当者は「相手がひどい人の場合、強姦も含めてどんなことがあるかわからないので、そんな時の帰国費用にするように」と話したという。A子さんが成田空港からソウルに着いたのが'88年10月28日。式場となったメッコール(麦から作る清涼飲料水)工場で、その日は“ギョーザ寝”と呼ばれる雑魚寝。翌日の午前中、番号が呼ばれ相手の写真をもらい、午後、初めて相手に会った。

「マイクロフォンで自分の番号が呼ばれたので急いで行くと、相対者が立っていました。見た瞬間“タイプじゃないな”と思ったんですが、そう考えることは誤っていると自分を抑制しました。相手が悪い時は、信仰が足りない自分に非があると教えられていましたから」

 式後1週間は、A子さんは現地の信者の家に集団で相手と共に泊まった。

「その1週間後は聖別期間といって性関係をもってはいけない期間で、握手ぐらいはいいがベタベタしてはいけないと言われていました」

 この後、A子さんは韓国の統一教会に配属され、朝は掃除、昼は韓国語の勉強、残りは戸別訪問をして布教活動を行うという生活を続けた。夫婦生活はなかった。観光ビザが切れる前に、彼女は一人で、一時日本に帰国して入籍したが、帰国前、幹部に「日本で100万円の献金と霊の子3人を勝利(獲得すること)してきなさい」と指示された。

 2カ月後、A子さんは再び韓国へ。

「(教会の日刊紙)世界日報の配達と拡張をしました。教会での住み込み生活。月3万~5万ウォン(約6千~1万円)の小遣いをもらっていました。相対者とは月に3、4回会っていました。結婚生活というのはありませんでした」

 A子さんは式の前に、「自分の意思で参加しました」という誓約書に署名捺印している。が、「全て上から命令されたことです」というA子さん、教会を辞めた現在、結婚自体が「無効」と考えている。

デイリー新潮編集部

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