「統一教会」はいつの間にか「家庭連合」に? 悲願の改称実現で行われた“1万人の狂宴集会”

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 安倍晋三元首相(享年67)が銃撃された事件に関して、世界平和統一家庭連合(旧・世界基督教統一神霊協会=統一教会)の会長が都内で会見を開いた。「家庭連合」という聞き慣れない団体名に、「なぜ統一教会は名前を変えたのか?」と疑問を持った人も多いのではないだろうか。

幕張メッセで1万人イベント

 今月8日、奈良県・近鉄大和西大寺駅付近で演説中の安倍元首相を銃撃し、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された山上徹也容疑者(41)。犯行の動機とされている「宗教団体への恨み」に関する報道が続く中、奈良市内の家庭連合の施設で、山上容疑者によるものとみられる数カ所の弾痕が見つかったことが新たに分かった。

 さらに11日には、家庭連合の日本教会会長の田中富広氏が会見し、山上容疑者の母親が教会員であったことを認めた。これによって、一部メディアでは既に報道されていた「統一教会」の名が“解禁”された形になったわけだが、今回の事件で教団名の改称が周知されることにもなった。

 教団名を変更したのは2015年のことだった。信者ら1万人が集結した記念式典の模様を、「週刊新潮」(2015年10月22日号)の記事から紹介する。

〈合同結婚式や霊感商法で馳せた「統一教会」の名を、このたび「世界平和統一家庭連合」に。12日には、千葉県・幕張メッセに約1万人の信者が集い「出帆記念大会」なるお祝いである。〉

 この時も、教団と政治家との関係がうかがえる場面があった。

〈合唱あり、ミュージカルありのステージの模様は、全世界の教会に同時配信された。60通以上あったという国会議員からの電報のうち、読み上げられてしまったのは、鳩山邦夫、亀井静香両センセイの便りだった。〉

文化庁から認証

 統一教会といえば、特に一定世代以上には、合同結婚式や霊魂商法といった社会問題のイメージが強い。名称変更は、それを刷新する意図との声もある。

 当時の記事によると、統一教会側は、

〈「生前から文先生(註:教祖の文鮮明)がおっしゃった“家庭の救いを通した、神様を中心とする運動に転換する”方針に基づく名称です。世界の教会では既に変更済みでしたが、日本でも文化庁から認証されたのです」〉

 と理由を説明する。

 いずれにせよ、統一教会にとって名称変更は、盛大な式典を催すほどの悲願だったわけだ。実際、少なくとも15年前から働きかけを続けてきたことを、元文部科学省事務次官の前川喜平氏(67)がTwitterで明かしている。

〈1997年に僕が文化庁宗務課長だったとき、統一教会が名称変更を求めて来た。実体が変わらないのに、名称を変えることはできない、と言って断った。〉(2020年12月1日)

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