「鈴木先生」「カルテット」… 2010年以降のベストドラマ、サブスクで視聴可能な作品を厳選

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 600回。連載12年。ひとり感謝祭で12年間をふりかえってみる。もう一度観たいドラマを書き出したら、160作もあった。全部は紹介できないので、「清くない・正しくない・後ろめたい人々」に絞る。NHKとWOWOWが多かったが、青息吐息の民放地上波に限定。なおかつ、どっかしらのサブスクで現在無料視聴できる作品5選をお届け。

●「鈴木先生」(テレ東・2011年、Paravi)は、中学校教員モノとしては相当シニカルで秀逸だった。主演の長谷川博己は、生徒の性格や背景を考慮し、よき化学反応で健全なクラスにすることを目指している教師だ。でも聖職者とは言い難い。校内で喫煙するし、女子生徒との妄想もしちゃう。時代を感じるものの、教員の疲弊とある種の生臭さを前面に出した作品で、奇麗事や説教臭さは一切ない。生徒役も土屋太鳳、矢作穂香、小野花梨や三浦透子、北村匠海など、今や人気の役者陣なので要凝視。

●「BORDER」(テレ朝・2014年、TELASA・U-NEXT・Prime Video)では死者と対話できる力をうっかり身に付けちゃった刑事を小栗旬が演じる。殺人事件の被害者(霊)につきまとわれ、事件の解明を懇願される小栗。コミカルな話もあるが、裏社会の情報屋を使って違法捜査を行うことも増えていく。正しくはないが、人の心はある。そんな小栗が最終回でまさかの……というラストシーン。テレ朝にしては斬新な作品で、役者も青木崇高ら渋めの面々が勢ぞろいなので、ツウにお薦めしたい。

●「カルテット」(TBS・2017年、Paravi・hulu・U-NEXT)は、松たか子・満島ひかり・高橋一生・松田龍平と珠玉のメンツによる最高傑作。ラブ&サスペンスだが、そのくくりも陳腐と思われるくらい、内容とせりふが濃い。前半のたか子は上品なお嬢様育ちに見えるものの、背負った過去はメガトン級の不運。犯した罪で世間から袋叩きに遭う。「大豆田とわ子と三人の元夫」「スイッチ」もよいが、辛酸のなめ具合から本作に。うそと罠と罪と愛の行方をぜひ。

●「新しい王様」(TBS・2019年、Paravi・hulu・U-NEXT・Prime Video)は、自由で奇抜な発想の実業家・藤原竜也と、阿漕(あこぎ)な投資家・香川照之によるテレビ局買収劇を描く意欲作。テレビと芸能界の裏事情丸出しのセリフや設定は、笑えて嘆かわしくて切ない。腰抜け・日和見・風見鶏なテレビ局に対する呪詛であり、エールでもある。深夜にこっそりやらんで、ゴールデン帯で堂々と放送すりゃあいいのにと思った記憶が。毒舌竜也と腹黒香川の濃い応酬をご堪能あれ。

●「恋する母たち」(TBS・2020年、Paravi・hulu・U-NEXT)。木村佳乃・仲里依紗・吉田羊が演じる母たちが夫以外の男に恋をする。背徳の快楽と罪の重さを最も味わったのは羊姐さんで、その後ろめたさは随一。

 ホントは「リーガル・ハイ」を入れたいが、無料配信がない。代わりにおみそで「デート」(フジ・2015年)を。なぜなら現在再放送中。月9史上最も面白いラブコメやで!

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビドラマはほぼすべて視聴している。

週刊新潮 2022年7月14日号掲載