セブン-イレブンは300円超え「明太子」 コンビニのおにぎりが今、変化しているワケ

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見なくなった「100円セール」

 世相の反映は商品そのものだけでなくキャンペーンにも。

「少し前まで、各社が頻繁に『おにぎり100円セール』を行ってきたことをご記憶の方も多いのでは。学生をはじめとする若い世代が手に取りやすい価格設定にして、将来的な潜在顧客を開拓する狙いなどがあった施策ですが、世相という点では、19年にセブンが行っていた『朝に2個買うと200円』というキャンペーンが分かりやすいでしょう。一見、1個100円より使い勝手がわるい企画と思われるかもしれませんが、これはシニアのご夫婦の利用を想定したキャンペーンでした。比較的接客に余裕のある通勤時間帯の前の『朝』に、早起きのシニアを呼び込みたいというわけです。コロナ禍で各社余裕がなくなり、こういったキャンペーンを見なくなったのも、また世相といえるかもしれませんが……」

セブンのおにぎりに見る「2つの世相」

 ではセブンの異例のおにぎりには、どんな世相を反映しているというのか。渡辺氏は2つのポイントを挙げる。

「ひとつ目は『メリハリ消費』。また予断を許さない状況になってきてしまっているものの、コロナが落ち着いたことによって、消費活動が活発化の兆しがあります。分かりやすく言えば“コロナで我慢していたぶん、パーっと贅沢したい”という意識ですね。SNSを覗くと、〈セブンがヤケクソになっている〉といった声とともに、楽しんで手に取っている様子が見て取れます。ふつうのおにぎりとして考えると価格は高いですが、そこに面白さを見出すという意味では『メリハリ』の対象にもなっているようです」

 もうひとつはやや切実な事情がありそうだ。

「ローソンは『おこめぐり』企画の理由に“世界情勢”を挙げています。世界の小麦輸出の3割を占めるとされるロシアとウクライナの情勢を受けた小麦の高騰が、秋以降、本格的にやってくると報じられています。岸田首相は9月まで小麦価格を据え置くと発表しているのと同時に、国産の米や米粉などに切り替えていく方針も打ち出しました。自給率の高い米を国内で積極的に消費しなくてはならない。そうした事情も、コンビニのおにぎり注力からは見て取れますね」

デイリー新潮編集部

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