70年代に“生魚のカルパッチョ”!? 朝ドラ「ちむどんどん」のイタリア料理にプロも困惑

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料理のエッセンスを理解していない

 時は流れ、シェフ6年目になった暢子が客に給仕する「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」(第11週)という一皿については、

「名前だけ借りた別モノです。『ビステッカ』は2つの骨という意味で、骨付きロースのことを指します。『フィオレンティーナ(フィレンツェ風)』は特別贅沢なことを意味するので、ヒレ肉も付いている骨付きのTボーンの部位を使うことで初めて名前通りの料理になる。ドラマで出てきた料理は厚めに切ったステーキで、この料理のエッセンスは何かということを無視した、ただの肉料理になってしまっています」(同)

 さらに、「これがうちの考えたフォンターナの新しい看板メニュー。妹が好きなイカスミジューシーがヒントになりました。まさか沖縄の料理がイタリア料理に応用できるなんて、びっくりです」と暢子が胸を張る「イカスミパスタ」(第10週)については、

「当然ですが、暢子が発明したものではありません。イカスミを使ったスパゲッティはシチリアに伝わるものです」

“ドラマだから”と許される範囲かもしれないが、これほど間違いが多いと疑問視したくもなるだろう。それでは、「そら豆とリコッタチーズのラビオリ」(第12週)についてはどうか。

「今でこそ日本でも様々な種類のチーズが手に入りますが、船便が基本だったドラマの時代には、リコッタチーズのような足が早いチーズを手軽に使えるわけがありません。それにこのメニューは室井シェフが作り出した物で、ドラマの時代にはなかった。さらに、『リコッタチーズを水切りヨーグルトで代用すれば、ご家庭でも作れると思います』という暢子のセリフがありますが、当時、室井シェフがやっていたリコッタチーズの代用品は加熱した牛乳にレモン汁を入れて作ったもので、水切りヨーグルトは似て非なるものです。なぜ敢えて別の方法を紹介するのでしょうか」(同)

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