谷繁VS中村武志、因縁の元捕手ふたりが「投高打低」を解析 深刻な問題点が浮き彫りに

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「投手のレベルが高すぎる」

 今季のプロ野球では、佐々木朗希(ロッテ)の完全試合を含め、ノーヒットノーランが既に4度も出現した。7月3日にソフトバンクの石川柊太が、西武相手に1安打完封で“ノーヒッター未遂”としたことも、目新しくはなくなった。7月に入っても歯止めがかからない「投高打低」の要因にはいくつも説が浮上してきたが、元捕手の評論家2人はどう読み解くのか。2001年オフ、横浜(現DeNA)と中日による事実上の交換トレードに絡んだ谷繁元信氏(51)と中村武志氏(55)が奇しくも同時期に、その分析を発信した。

 谷繁氏は6月28日に公開した、自身のYouTubeチャンネル「谷繁ベースボールチャンネル」で投高打低をテーマにした。「投手のレベルが高すぎる!」のタイトルにあるように終始、投手側の進化に触れている。

 1989年に島根・江の川高(現:石見智翠館高等学校)からドラフト1位で大洋入り。横浜、そして中日でプロ野球史上最多の3021試合に出場し、幾多の投手と組んできた。中日の黄金時代の中心選手で、落合博満監督退任後は選手兼任監督に就任した。球史に残る名捕手だ。

 谷繁氏は佐々木朗希のほか、山本由伸(オリックス)、千賀滉大(ソフトバンク)といった160キロ投手の名を挙げ「球が速いというところに注目しないといけない」と切り出した。その上で「速いボールを打ち返す、そこがバッターの方が苦労しているところかな。なかなか150キロを超える球を1スイングで打ち返すのはそう簡単ではない」と指摘した。

 だが、佐々木ら3人は別格としても150キロ台の投手は、それこそ谷繁氏の現役時代にもいたはずだ。谷繁氏は以前との違いを、より分業制が確立されたことであると示唆した。

「先発投手は完投がほとんどない。(打順が)3回り目までいくことがなくなった」

 確かに昨今は規定投球回に達する投手が減っている。先発完投型の投手に贈られる沢村賞の選考も選出が難航する。大リーグで編み出されたリリーフが短いイニングで先発する「オープナー」ほどではないにしても、先発もリリーフに近い感覚で、完投を念頭に置くことなく打線の2回り目までを全力で抑えにかかるよう、意識が変わってきたという意見だ。

 谷繁氏は「リリーフも球が速い」とも語る。これもメジャーと似た現象だが、終盤は速球派投手が次々とマウンドに上がる。打者にしてみれば1試合を通じ、常に速球と対峙していかなければならない厳しさがある。投高打低の要因は、最終的に「単純にピッチャーがいい」との結論に至った。

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