なぜ「IPPON女子グランプリ」でタレント勢が強かったのか 女性芸人を萎縮させた「番組の構造」

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審査員陣のフォローはあたたかさか差別か 女性芸人の実力は男女混合戦でこそわかる!?

 女性芸人たちの気苦労をよそに、ノールールで殴り合う熱気を見せたタレント陣。渋谷さんや滝沢さんは割と正統派だったものの、王林さんや神田さんの暴れっぷりに巻き込まれた局面も多々あった。とはいえ、要所要所で流れを引き戻し、お題に沿った回答は正しく評価していた審査員陣の根気強さも印象に残っている。

 90年代のキレキレな姿を思うと、若い女性の回答にも大笑いし、苦戦する参加者に「僕は好きでしたけど」とフォローする松ちゃんなんてびっくりしてしまう。アタフタしている芸人回を見かねてか、他の見届け人たちも鮮やかなツッコミで笑いを広げ、おぼつかない足取りの娘を見守る父親のような存在感を醸し出していた。

 やや手厚すぎるフォロー、高いテンション。それは女性芸人に対する差別か、愛情か。どちらにせよ、「まとめる」のは参加側ではなく審査側の仕事。余計なことは考えずに伸び伸びやれよ、というメッセージが含まれていることは間違いないだろう。今回は審査員層に偏りがあったものの、もう少し年代の近い人や女性がいれば風は変わったはずだ。また川島さんが最後に男女混合戦を示唆していたが、女性芸人というカテゴリーを背負わせるよりは、いち芸人として気負いなく戦える場所を与える方が、結果的に彼女たちを奮起させる気もする。実現を楽しみに待ちたいが、その時ははるかさんの第1問での名回答、「しのごの言わずに楽しめよ」をテーマに
してほしい。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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