夏の世界陸上、男子リレーは絶望的? 「伝統芸のバトンパス技術を教えられる選手がいない」

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走力不足とバトンパス技術の指導者不足

 しかし、このメンバーが残念ながら期待薄らしい。

「リレーは、個々の走力に加えてチーム全体の技術力が肝要。走力に劣る日本は、伝統芸といわれるバトンパス技術でカバーして世界と戦ってきたのですが……」

 とスポーツ紙陸上担当記者が解説する。

「まず、参加標準記録をクリアしているのがサニブラウンだけで、4人全員がクリアしていた東京五輪侍と比べて走力で格段に劣る。若い面々ですが、東京五輪侍が彼らと同年代だった頃と比べても一段劣ります」

 そうなると、技術でカバーするしかないが、それこそが絶望的だという。

「2008年北京五輪で朝原宣治らが銀メダルを獲得して以来、代表メンバーは変遷していますが、常に経験者が新参者に技術面や精神面のノウハウを語り継いできた。ところが今回の経験者はサニブラウンと小池だけ。サニブラウンは19年世陸で銅を獲得した一員ですが、バトンパスが下手過ぎてやむなくアンカーに回した。小池は世陸や五輪の決勝で走った経験がなく、唯一出場した世界大会の19年世界リレー選手権ではバトンパスをミスし失格。苦手意識を克服できず、東京五輪もアンカーだった。つまり今回は、若手に技術を伝えられる選手がいない」

 山崎一彦日本陸連強化委員長いわく「パリ五輪の金メダルが目標」。つまり“オレゴンはお手上げ”か。

週刊新潮 2022年6月23日号掲載

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