埼玉県議会で自民がLGBT条例案 実は「反対87%」パブコメ結果を完全無視の内幕

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「女性スペースを守る会」は女児や障害者の性暴力被害を懸念する要請書

 今回の問題では、「女性スペースを守る会」が21日に自民党埼玉県連の柴山昌彦会長(衆議院議員)と小谷野五雄幹事長(県議)宛てに、条例案の提出を見送るよう要請書を提出している。守る会は、LGBT法案の中の「性自認」について「女性の権利を守る立場からも慎重な議論が必要」との立場で昨年9月に結成された。

 要請書では、「性自認」は女性の安心安全という権利法益と衝突するとした上で、男性器があるトランス女性の性的指向が女性に向いている場合も多いと指摘。女性用のスペースの入り口では、外見からは性自認が真実であるかや性的指向を確認することはできず、人権上も許されないため、いかがわしい目的の男性が女装して入りやすくなると説いている。その結果、警戒心が薄く抵抗力の無い女児や障害のある女性が性暴力被害に遭いやすくなるとしている。

 また、パブコメの賛否の状況や内容の分析を発表もせずに条例案を提出することは、意見を出した県民を愚弄するものだと批判。「性自認」という概念の法令導入が進んでいたイギリスでは、女性スポーツや刑務所などで混乱や悲劇が続き、今年4月にボリス・ジョンソン首相が“正常化”をめざして舵を切る旨の発言をしたことも指摘した。要請には昨年12月結成の「性別不合当事者の会」も加わった。

「守る会」事務局の滝本太郎弁護士は、「パブコメの最中に条例推進派が『差別を煽る反対意見で荒れており、反対意見だらけになると条例制定が遠のく可能性がある』との趣旨のツイートを流し、賛成コメントを求めているのがわかった。情報が漏れていた疑いがあったが、県連や推進派の県議らは何ら説明していない」と話す。

参考:LGBTの呼称について、法務省はホームページ(HP)では次のように説明している。
《性的指向及び性自認(性同一性)に関して、いわゆるLGBTなどと呼ばれることがありますが、それらは、一般的に次のことを指しています。

L:女性の同性愛者(Lesbian:レズビアン)
G:男性の同性愛者(Gay:ゲイ)
B:両性愛者(Bisexual:バイセクシャル)
T:こころの性とからだの性との不一致(Transgender:トランスジェンダー)》

椎谷哲夫(しいたに・てつお)
1955年、宮崎県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院社会科学研究科修士課程修了。元中日新聞社(中日新聞・東京新聞)編集委員。警視庁、宮内庁、警察庁、海上保安庁の担当などを経て関連会社役員などを歴任。著書に『皇室入門』(幻冬舎新書)、『夫婦別姓に隠された“不都合な真実”』(明成社)など。

デイリー新潮編集部

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