元公安警察官が語る「日本赤軍」極秘捜査 7人の国際指名手配犯は今どこにいるのか

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 日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。昨年9月に『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、元日本赤軍メンバーと捜査当局との長い戦いについて聞いた。

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 5月28日、元日本赤軍最高幹部、重信房子氏(76)が20年の刑期を終えて釈放された。彼女は、1974年9月、フランス当局に逮捕された日本赤軍の山田義昭を奪還するため、オランダのハーグにあるフランス大使館を占拠して大使ら11人を人質にとり、警察官に発砲して重症を負わせた(ハーグ事件)ことで国際指名手配された。

 長い逃亡生活の末、潜伏先の大阪・高槻市で逮捕されたのは、2000年11月のことだった。

「ホテルに挙動不審な女がいるという、複数の情報が寄せられたことが逮捕のきっかけでした」

 と語るのは、勝丸氏。

「ホテルに長期滞在しているのにほとんど外出はしない。その一方、不自然なほど訪問客が多いというのです。彼女に関する公安の膨大な資料には、特徴を示すデータがいくつもありました。その一つがタバコの吸い方です。キセルを吸う時のように、親指と人差し指でタバコを持って吸うのです。監視していた捜査員が、彼女がタバコを吸う姿を見て重信だと確信したそうです」

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