立浪「中日ドラゴンズ」に暗雲 「中村紀洋コーチ」二軍降格のウラで、主砲候補・石川昴弥を巡る確執

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 今季から立浪和義監督が率いる中日に、シーズン序盤にしてきな臭さが漂っている。交流戦直前に起きた、同監督による中村紀洋打撃コーチの2軍への配置転換を巡る一連の動きのことだ。球界ではチームの不振時に、担当コーチの1、2軍を入れ替えてカンフル剤とすることは珍しくない。だが、この時点で借金はまだ4。しかも、立浪監督は、中村コーチに問題があったわけではないと強調している。立浪監督と親交があるとはいえ、部外者のデーブ大久保氏が自身のYouTubeチャンネルで監督に電話で尋ねたとした上で「中村ノリがやらかしたとか、監督と何かがあったとかではない」と火消し役を務めたことも違和感を否めない。一体、チームに何が起きていたのか――。

野球理論は水と油

 予兆はキャンプでのある出来事だった。中村コーチが指導した20歳の大砲候補、石川昂弥はキャンプ後半に結果が出ない時期が続いた。そこで首脳陣は、石川自身に調整を任せる時間を設けるため、指導を一時中断した。ところが、

「熱心な中村コーチはそれに我慢できず、教えてしまった。立浪監督は周囲に人がいる中で“ノリ、教えるなって言ったやろ!”と叱りつけたのです」(ドラ番記者)

 立浪監督は投高打低のチームの現状を打破しようと、就任時から石川の一本立ちを自身のテーマにしていた。現役時代、石川と同じ右打者だった中村コーチを招聘したのもそのためだ。

「右打者と左打者では指導法が違う。選手の時に右打ち、左打ちの2人のコーチをそろえる人事はよくある。今季の中日なら中村コーチが右で、森野将彦打撃コーチが左。まぁ、いざとなったら通算2480安打の立浪監督が教えればいいのだが……」(元NPB監督)

 しかし、打撃理論で中村コーチと立浪監督は水と油だった。

「端的に言うと、中村コーチは操作性が高い腕をうまく使って打て、と。ただ、腕に重きを置くバッティングは指導法としては特殊で、対照的に立浪監督は下半身主導の基本に忠実な打撃。石川は中村コーチの教えが合わなかったようだ」(番記者)

交流戦直前の降格人事

 巨人ではあの松井秀喜でさえ、不動の4番になるまで長嶋茂雄監督の「千日計画」があった。主砲の育成は一朝一夕にはいかない。「選手と合う、合わないがあっても通常、監督はコーチに任せるものだが、今回は違うようだ。実は、石川の父親が立浪監督と親しいという話がチーム内に出回っている。これまでの監督の石川への厚遇も合点がいく。中村コーチの指導が合わないという石川の思いも、間接的に立浪監督に伝わったのではないか。指導の中断や2軍降格は、中村コーチと石川が距離を置くための措置に見えた」と球団関係者は指摘する。

 さらに事情を明かす。

「立浪監督は理論が異なる中村コーチの指導に我慢の限界で、2軍降格は早くから交流戦前という節目を見計らっていたのではないか。2人は現役時代一緒にプレーしたが、ただのゴルフ仲間。ノリにはNPBに復帰させてもらった恩義はあっても、監督はどうだろうか」

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