暴行で逮捕の財務次官候補、いくら損した? 通常なら「退官後15年で数億円稼ぐことも」

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「年収5千万円」

 実はその点が上司に買われていた。

「小野さんは矢野次官のお気に入りでした。小野さんの同期には総理秘書官の宇波弘貴さんという同じく次官候補のエースがいますが、矢野さんは政治家の主張を安易に受け入れる宇波さんを嫌っていて、小野さんを評価していた。理財局時代には不要な国有地売却に否定的で、“省益”を第一に考える官僚だったからです。小野さんは夏の人事で次官の登竜門である官房長に事実上内定していました。そのことにプレッシャーを感じていたようです」(同)

 公務員制度に詳しいジャーナリストの若林亜紀氏が指摘する。

「総括審議官であれば退職金は6千万円ほどで、依願退職すれば満額出るでしょう。しかし、次官に就任すれば退官後に天下り、上場会社役員などポストを掛け持ちできますし、天下り先の退職金をもらいながら、別の会社に移ることもできる。退官後15年で数億円を稼ぐことも可能です」

 小野容疑者の場合は、

「組織の不祥事をかばったわけではなく、個人的な事件なので、天下りはそもそも難しい。仮にどこかの社にもぐりこめても、得られる収入は次官OBなら年収5千万円の例もありますが、年間数千万円は下がるでしょう」(同)

週刊新潮 2022年6月2日号掲載

ワイド特集「シン・人間喜劇」より

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